早苗と成瀬の場合 中編
予定通り、二人を乗せた黒い塊は高速の入口へと滑り込む。ETC搭載なので元より一度も停まる予定はなかったが、極力減速しないようにゲートを潜っていく。本格的に北上を始めた車は、三桁のスピードを出して大して恋しくもない家路を目指していた。
「もういいんじゃないですか?」
のっそりと勝手に助手席に移っていた早苗は、ライターを握る成瀬を見た。走行音に混じったかちりという火の音を聞き届けて、餞のように煙を吐く。その間、成瀬は早苗の主張について考えていたが、高速に乗った直後に助手席にやってきた彼女がこれ以上何を待たされているというのか、見当が付かない。
「何が?」
「仕事の内容ですよ、そりゃ」
「あぁ」
到着前に言おうか言うまいか、成瀬の中でも決めかねていることだった。しかし、自棄を起こしているのは早苗だけではない。成瀬もまた、全てがどうでもよくなりつつあった。見ず知らずの子供を誘拐して一緒に死んだらどうなるんだろう、そんなふざけた死に方に興味が湧いて、急ハンドルを切りたくなる程度には。
「動物を、たくさん殺す」
「へ?」
「犬とか猫。殺して埋めるんだ。もう繁殖に使えなくなったやつ」
体を売らなくて済むのであればなんだってやる。そのつもりでいたはずの早苗が、目を見開く。動物を金儲けの道具としか思っていない人間が存在することは知っていた。似たような話題はニュースでも何度か取り上げられている為、このご時世知らない者の方が少数だろう。不要になった動物を殺すだなんて酷い、と。ニュースを見た早苗は強くそう思っていた。しかし彼女は今、世界の汚さに打ち拉がれている。命を奪って棄てるという後味の悪い仕事を他人に押し付けるだなんて、首謀者はかつて想像した以上に酷いと憤る。
「飼ってあげたり……」
「馬鹿みたい。何匹いると思ってるの? 餌代がかかるし、存在が邪魔。そいつらは処分して、すぐに新しいのを入れるんだよ」
成瀬がそう言ったっきり、早苗は一言も発しなくなった。粉砕されたスマホのことなどとうに忘れ、しかし帰りたいと口にすることもない。車内に響くのはライターと煙を吐き出す音だけだった。岩見沢辺りで成瀬は思い付いたようにラジオをつけたが、ラジオパーソナリティの明るい声が白々しくて、すぐに消した。
ETCが車内のスピーカーから料金を知らせる。一般道路へと舞い戻った二人を乗せた車は、着実に目的地へと向かっていた。速度こそ落ちたものの、夜中の田舎道にはほとんど足止めが存在しない。駅からはおよそ徒歩で三十分以上かかる地に向かって、車はひた走った。街灯はまだ点いているが、空の端の色が視認できる程度には夜が明けている。
それなりに長いドライブの間、早苗が瞳を閉じることはついぞ無かった。これから小さな命達を奪う、そのプレッシャーが彼女を寝かせなかったのだ。ニュースで見たときは酷いと心を痛めたというのに、己の為ならば命を奪う選択が出来てしまう、そんな自分が恐ろしかった。
敷地内に乗り入れた車は、砂利を踏みしめて止まり、その瞬間に室蘭からくっついて来た気配のようなものが死んだ気がした。車が完全に停止するまでは、早苗と一緒にやって来た何かがその辺を漂っていたのに、もう自分と所縁のあるものは本当になに一つなくなった、早苗はそのように感じた。
先に車を下りたのは成瀬である。数時間ぶりに帰ってきた家は特に変わりなく彼女を受け入れた。シートベルトをゆっくりと外している早苗と目が合う。言葉は交わさなかったが、目が合ったことで観念したのか、早苗は助手席から降りた。気が進まないという思いを体現するような動きを見て、成瀬は頭を掻く。
「静かなの、分かる?」
「そうですか? 虫とか蛙とか鳴いてますけど」
「両隣に家がないって意味」
「あー」
早苗は古くて大きな一軒家を見上げていた。木造の壁は一部の板が腐食しているところを塗装を塗って食い止めている。群青を基調とした家は二人がやってくるのを待ち構えているようだった。これだけ広ければ動物用の空間を用意していても不思議ではないが、それにしては妙である。人を雇ってまで殺すほど動物がいるとは思えない静けさが立ちこめていた。呑気に虫や蛙の声に耳を傾けられる状況がおかしいとようやく気付いた早苗は、表情を強張らせる。
「警戒するなと言う方が難しいだろうけど、とりあえず中に」
風除室内に立てかけられたママさんダンプは年季が入っているが、現役のように見受けられた。リアルな生活感がそのまま違和感となって早苗を襲う。雪が赤く染まる光景が脳裏に広がって、すぐに玄関のドアに引き戻された。
広い玄関だが、出されているのは隅に置かれたサンダルのみだった。下駄箱にはいくつかの靴が無造作に詰め込まれているものの、どれも白い埃が被っている。しかし早苗は視覚から得ているはずのそれらの情報を、ほとんど処理しきれていなかった。彼女の思考は嗅覚に支配されつつあったのだ。
成瀬は靴を脱いで、早苗がついてくることなど確認もせず、廊下の先にあるドアを開けた。その瞬間、これ以上無いと感じていた臭いがさらに強烈になる。靴を脱ぎながら、早苗は嫌な予感の正体を考える。成瀬は言った、繁殖に使えない犬猫を殺して処分するのが仕事だと。廊下の奥の部屋から漂ってくる臭いを、生きている何かが発しているとは考えられない。その言葉が本物だとすると、奥にいるとされる動物達は半死半生の状態で、体の一部を腐らせながら死を待っているとしか思えなかった。
「ごめん。騙してて」
リビングに足を踏み入れた早苗の背中に、成瀬はそう告げた。彼女の視界に飛び込んできたのは、こたつに突っ伏している老婆ただ一人である。触れて確認するまでもなく、何故か早苗にはそれが既に事切れていることが分かった。
「動物、は……?」
「いない。動物を殺して処分する程度のことに怯えて泣き出したり、帰りたいと喚くようなら、私が頼みたいことは務まらないと思ったから。その、試させてもらったよ」
成瀬は心底申し訳無さそうにそう告げる。しかし、早苗の返答は、少なくとも成瀬にとってとてつもなく予想外なものだった。
「なぁんだ……良かったぁ」
「……え?」
早苗は振り返って成瀬を見上げる。初めて会ったとき、成瀬には早苗が自分には似つかわしくない可愛らしい年相応の子供に見えていた。様々な覚悟の末に室蘭まで来たというのに、こんなことに付き合わせて本当にいいものかと改めて考えさせられるほど、早苗は成瀬にとって無垢に見えた。しかし今は違う。異臭を放つ赤の他人だった死体を見て、笑みをたたえる悪魔のようだった。
「……早苗、それはもう」
「分かってますよ? 死んでますよね、この人」
もしかすると死んでいることに気付いていないかもしれない、そう思って真相を告げようとした成瀬だったが、その必要はないと思い知らされた。成瀬には分からなかった、何故人の死体を見てこうも平然としていられるのか。彼女が問う前に、早苗は語り出す。
「私、怖かったんですよ。動物を殺して、埋めなきゃいけないなんて。可哀想じゃないですか」
ではこの遺体に何かをするのは可哀想ではないということだろうか、成瀬は告げるつもりのない疑問を頭の中でくるくると回して、別の言葉を導く。
「殺す、ということが引っかかっていた?」
「そうかもしれませんね。自分でもわかりません。でも、この人に何かをする方が、動物を殺すよりもずっとマシだと感じました」
「そっ、か……」
「まさかこれを食べろとか、言いませんよね?」
何をすべきか、早苗はまだ告げられていない。罪のない動物を殺めるのと同程度にこなしたくない仕事として、この遺体を食べることを思いついた彼女だったが、成瀬はその発想にぎょっとした。
「まさか。私が頼みたいのは、その遺体を処分すること」
「やっぱり、そうなりますよね。でも、どうしましょう」
「細かくして棄てる、とか」
随分と猟奇的なことを言っている。成瀬にはその自覚があったが、早苗の「頑張ります!」という元気な返答を聞くと、自分の提案がまともであったかのような錯覚に陥りそうになる。どう見ても訳アリの少女は、遺体を前にやる気を漲らせていた。空はもうすぐ明ける。あと一時間もすれば早朝に家を出る者は活動を始めて、新聞を配るバイクの音なんかが聞こえるようになる。街が目覚めるまでの時間を有効活用すべきと考えていた成瀬は、早苗の妙な高揚に気付きながらも、それに触れることはなかった。むしろ好都合とばかりに作業を進める選択をする。
「まず、早苗。SNSのアカウントは、消したほうがいいかも」
「分かりました」
「そんなあっさり。いいの?」
「どうせ友達なんていませんし。足がつくと面倒なのは私も一緒です。一応、DMの履歴を消してからアカウントごと削除します。スマホ、借りていいですか?」
「あ、あぁ」
「あ、というか成瀬さんはもう消しました?」
その問いに、成瀬は無言で頷く。彼女は早苗の連絡先と居場所を手に入れた時点で、やりとりに使用したアカウントを削除していた。
「この人が誰か、訊いてもいいですか?」
「……私の母。発作を起こして、それで」
成瀬はそこで言葉を切る。言葉を探していたのではなく、これ以上言う必要はないと考えたからである。直後に、煙草を求めてポケットを弄る手が止まる。
「あの、それっておかしくないですか?」
早苗は成瀬をじっと見つめた。成瀬の言う通り、遺体には誰かに傷付けられたような痕跡は見受けられない。しかし、ただの病死であれば、自分がここに呼ばれる必要は無かったはず。早苗はそう考えた。非日常に酔いつつあるが、さすがに高校生にもなると違和感くらいは感じてしまう。
「普通に死亡届? とか出して、お葬式したらいいんじゃないですか?」
真実を告げることを億劫に思っていた成瀬だったが、そうもいかないということを知ると小さくため息をつく。早苗の問いには答えず、別の質問を投げ掛けた。
「それを確認したところで、早苗のやることは変わらない。でしょ?」
「……まぁ、私はお金が貰えるならそれでいいですけど」
「したっけ早速取り掛かろう。ブルーシートを持ってくる」
早苗には成瀬を責めたり疑ったりする気持ちは無かった。その生い立ちから、人の顔色を窺うことが身に沁みていた彼女には分かっていたのだ。成瀬は嘘をついていない。表情が痛烈に物語っていた。所定の手続きを踏む、早苗はそれができない若しくはしようと思わない理由を知りたかっただけだが、成瀬を困らせてしまったことを察する。
鼻はまだ慣れないが、徐々に他のことを気にする余裕が出て来た。木造の壁にかけられた時計は止まっており、その真下に置かれていたであろう棚は倒れていた。電話機は床に転がり、書類が近くに散らばっている。分厚い電話帳だけが、何故か少し離れたところに伏せるように落ちていた。これほど大きな異変に今まで気付かなかったことに驚きながら、早苗は成瀬が戻ってくる気配を感じていた。
がさがさという音に早苗が振り向くと、成瀬はブルーシートを持ってドアをくぐっていた。元々他の用途で購入され、外に放置されていたものだ。軽く叩いたが、埃っぽさは消えない。しかし、成瀬は構わず畳の上にそれを放った。適当に足で端を広げながら、ポケットから便所掃除で使うようなゴム手袋を取り出して早苗に差し出す。
「これ」
「あ、はい」
早苗に渡したのと同じものをはめながら、成瀬は淡々と告げる。これまでに何度か経験したかのような横顔だが、彼女は彼女でこの状況に平常心を保つので精一杯だった。
「とりあえずここに寝かせる。汁が出てるかもしれないから、服に付かないように気を付けて」
「わ、わかりました」
成瀬の母と呼ばれた遺体は成瀬に似ず小柄だった。早苗がこの老婆を吹雪の日に見かけていたら、吹き飛ばされないか心配しただろう。だというのに、持ち上げるのは困難だった。特に早苗には、成瀬の忠告など聞いている余裕がない。腕の力だけではどうにもならないので、服に触れることなど構ってはいられなかった。なんとか持ち上げてブルーシートの上へと転がす頃には、早苗は肩で息をしていた。死後硬直をとうに乗り越え弛緩した体は、夏の北海道で腐ろうとしている。持ち上げた時に人の感触がしない違和感を、早苗はそう解釈した。
「畳は……思ったより綺麗ですね」
肩透かしを食らったような気持ちである。そこに人がいた痕跡が古い畳に染みを作っているとばかり考えていたのだが、そんなことはなかった。この悪臭と釣り合わないクリーンさにゾッとする。腐敗が進んでこの肉体が原型を留めなくなった頃、きっと今とは比べ物にならない悪臭を発するのだろう。この死体が死後どれほど経過したのか早苗には分からないが、素人目に見ても亡くなった直後とは考えにくい。しかし、それを問おうにも、詮索される真似を嫌う成瀬が答えるとは思えないので、早苗は次の指示を待つしかなかった。
早苗に何かを告げることなく、成瀬は再びリビングを出ていった。何か道具を取りにいったのだろうと解釈し、彼女は立ち尽くしたまま遺体に目を向けた。母と言っていたが、似ているとも似ていないとも言えない顔をしている、早苗はそう思った。こたつで寝入るように放置されていたせいか、鼻が曲がっている。目や口は半開きで、生きている人間には不可能な表情に見えた。
「とりあえず、これに着替えて。もう遅いかもしれないけど」
「あ、ありがとうございます」
成瀬からシャツとジャージを受け取った早苗は、その場で着替えることにした。スカートの下にジャージを履いてみると、裾を引きずるような恰好になった。歩けないほどではないので、与えられた服に注文をつけることはない。テーブルの上に脱いだスカートを置くと、セーラーのリボンを解いてボタンを外す。視線を感じて成瀬を盗み見たが、彼女は神妙な面持ちで遺体を見下ろしていた。感じていた視線が勘違いだったと知った早苗は、セーラーを脱ぐと急いでシャツを被る。
「貸して。ハンガーにかけてくる」
「どこ持ってくんですか?」
「二階の部屋だよ。ここには置いておけない」
そう言って成瀬はまた部屋から出て行った。早苗の着替えと一緒に彼女が持って来たのは工具箱である。全てが金属で出来ており、ところどころが錆びていた。把っ手を引いて開けてみると、そこにはドライバーやペンチ、木槌なんかがしまわれていた。何に使うか用途は決まっていないが、確かに無いよりはあった方が便利だろう。成瀬はすぐに戻ってきた。おそらくは本命であろう道具、鋸を片手に。
「鋸、二本あった。こっち使って」
成瀬は、片手で使用できる小振りな鋸を早苗に手渡す。持ち手を向けて渡された彼女は、失礼ながらその気遣いを意外に感じていた。
「口を出すべきじゃないのは分かってますけど」
窺うように言葉にしてみる。成瀬は早苗の言葉なんて聞こえていないみたいに、両刃の鋸を見つめていた。この工具も大分古い。もし壊れた場合は他のもので代用するか、最悪買い足すしかない。そんなことを考えていた。
「お母さんなんですよね。本当に」
「うん」
「本当にいいんですか」
「分からないよ」
「え」
早苗は頭の中で「いいって言ってるでしょ」と、ため息まじりもしくは苛立った声で言われるとばかり思っていた。成瀬の表情からは何も読み取れない。先ほどの切羽詰まった表情とは打って変わって、ロボットのようだった。
「私は成瀬さんの事情にあまり興味が無いというか、無くは無いですけど、怒らせて家に帰されるくらいなら、知らないままでもいいかなって思ってたけど……」
気まずそうに言葉を詰まらせる早苗を、成瀬は視線で促す。
「成瀬さんはこのことを誰かに話した方がいいと思う。言葉にして、自分の中で整理した方がいいっていうか」
自分の年齢を二で割ってもまだそちらの方が若い。そんな少女のアドバイスに、成瀬は目を泳がせた。早苗は鋸を片手に持ったまま、これまでのことを素直に話した。父の虐待がエスカレートしていることも、たまたま書き込みを見つけたことも、こういった仕事が初めてであることも、成瀬の募集の仕方を素人くさいと感じたことも。
「……はは。そうだね。あんな募集をすることになるなんて、思ってなかったよ」
早苗は成瀬の言葉を待ったが、彼女はブルーシートの端を指差した。突然のことに首を捻った早苗だが、成瀬が反対側のシートの端を掴んだことで、ようやく理解できた。成瀬の顎による指示で、遺体は壁際に移動された。
「話した方がいい、早苗のその意見は尤もだと思う。だから、作業中に話そうと思う」
「え、作業する前にした方が」
「私がすることは変わらない。ただ、踏み留まれる最後の機会だろうから、そうしてみただけ」
早苗には、成瀬の言うことが分かるようで分からなかった。分からないと思っているのに、心の何処かでは既に理解しているような感覚もあり、これ以上追求する気も湧かない。
成瀬はダイニングから持ってきた椅子を、遺体と壁の間に入れた。理由を問おうとした早苗だったが、その答えはすぐに分かった。
「立ち止まってみたけど、やっぱり私にこれ以外の選択肢はない」
成瀬は右肩に鋸の刃を当てる。寝かせたままでも、壁に凭れかからせても、鋸で腕を切り落とすことは難しかっただろう。向こう側にスペースを作るために、成瀬はわざわざ椅子を間に置いて刃を入れようとしているのである。意図を汲んだ早苗は、椅子がずれないように座ってみせた。
「袖、まくっといて」
返事をして成瀬の指示に従う。切断しやすいように、半袖のシャツを持って、鋸が当たらなさそうな場所で留めておいた。何の遠慮もなく人体に鋸の刃が当てられるところを、早苗は人生で初めて眺めていた。まともな人生を歩んでいたらきっと目にしなかった光景が広がっている。元を正せば彼女がここにいるのは父のせいだが、そんなことはもう頭に無かった。
「この腕に、私は何度も殴られた」
硬度の高い感触に成瀬は一瞬手を止めたが、それが骨であることを察すると、鋸の柄を握る両手に再び力を込めた。既に人でなくなった成瀬の母だったものは、前後する刃の動きに合わせて体を揺らすのみである。早苗はできるだけ衣類の上から、遺体を支えた。元より父から離れることが目的だった早苗は、この老いた遺体に何の感慨もない。二人の過去の断片を知った早苗の手に、力がこもる。ただの死体だと思っていたものが、段々と人型の粗大ゴミに思えてきたのだった。
びちゃびちゃと滴る血は想定以上に周囲を汚した。それでも二人は手を止めようとしない。
千切れるような音と共に、体から左腕が離れる。鋸が脇を通過することは無かった。面倒に思った成瀬が残った肉と皮を引っ張ったからである。早苗はそれを見ても物怖じする様子はなかった。鋸の進みが悪くなってきたと言った成瀬に、「引き千切っちゃえばよくないですか?」と告げたのは早苗の方である。
こうして、遺体から右腕、左腕が切り離された。いつの間にか、外は明るくなっていた。天井近くに設置された採光窓から陽の光が僅かに届いている。しかし、彼女達が享受できる自然はここまで。光の一部を細々と食らうように生きるしかないのだ。最も恋しいのは新鮮な空気や風だろうが、当然ながら窓を開けることは許されない。両隣が空地とはいえ、人の往来が完全にゼロではないので、臭いで異変に思われることはなんとしても避けなければいけないのだ。
成瀬も早苗も、ずっと寝ていない。しかし眠気を感じることはなかったので、そのまま作業を続けた。この覚醒が異常なものであると成瀬は気付いていたが、止まらなかった。これから日中に向けて気温は上がっていく。じっとりと暑さと臭さに蒸されながら、彼女達は手を止めない。臭いが洩れないように締切った部屋の中で、二人は雑談を交わしていた。
「早苗、手が疲れてきてるんじゃない?」
「うん。さっきから鋸持ち替えたりしてる」
「そっか。我ながら、よく吐かずに作業していられるよね、私ら」
「楽しいからね」
そこには打ち解けた様子の早苗と、本音を語る度に常識から外れたことを言う早苗に慣れてしまった成瀬がいた。早苗は楽しんでいた。自分の心を巣食う魔物の名前を知り、どこかすっきりしたような気持ちでもいる。腐敗を始めた体に意味があるのかは分からないが、早苗はダイニングの方にあった扇風機を持ってきて、中の風を遺体に当てている。お陰で温くて臭い風が部屋の中をのののと巡ったが、早苗はすっかり慣れた様子で手を動かした。臭いよりも手の痛みが堪えるらしい。
「テレビ点けていい?」
「お好きにどうぞ」
始めは血が付着しないようにと気を付けていた二人だが、早苗は鋸の先端で何度かブルーシートに穴を開けているし、成瀬は何も敷いていない椅子に母の腕を置いて鋸を動かしていた。所詮、二人は素人である。リモコンを操作しようとした早苗に、成瀬が慌てた様子で声をかける。
「さすがに手袋は外してね」
「やっぱ?」
そうしてテレビリモコンの電源ボタンは、血や肉片が付着することを免れた。朝のニュースは昼のワイドショーとは少し違う、少なくとも成瀬はそう思う。出演者の態度や番組の構成から、無理矢理にコントラストを上げたような、人工的な明るさを普段から感じていたのだ。健全でいて、白々しい。彼女は岩見沢で付けたラジオを思い出す。馬鹿馬鹿しくて消したくなったが、今は点いていてもいいと思う。気分に振り回されるいい加減な自分を口元だけで笑いながら、左上に表示された時計を見る。
「これが死んだ時間から考えると」
「あのさ。これって呼ぶのやめない?」
「……でも」
「成瀬さん」
アイデンティティに関わりそうな話をするときでも、二人は肉を裂くことを止めない。骨に至っては、たまに叩き割られている。そうして今晩の献立の話をするような調子で、早苗は言った。
「ちゃんとこれまでと同じように呼んだ方がいいよ」
成瀬は、血の繋がりを好意的に捉える人種としか関われない人生だった。母の愚痴を零すと反抗期ということにされ、大人になってからも「たった一人の家族なんだから」と諭されることが多かった。早苗に限ってそれらと同じ思考回路なはずがない。身を以て知っているというのに、幾度となく繰り返した無駄な問答を思い出し、成瀬は身構えていた。家族に恵まれた者達は「一応、母親なんだから」と、異口同音に続けるだろう。しかし早苗は違った。
「そっちの方が、死んだんだって噛み締めやすくない? あぁこの死体がお母さんなんだぁ、やっと死んだんだぁってさ」
結論は同じだが、そこに辿り着くまでのルートが常識を逸脱していた。きっと、彼女は自分の父をこの遺体と同じような目に遭わせてやりたいと考えているのだろう。成瀬はひっそりとそう確信していた。
「……まぁ。じゃあ、話を戻すけど。母さんが腐るまでの勝負だと思う」
成瀬は切れ込みを入れた骨を木槌で叩く。早苗も同じように、視線を落としながら口を開いた。
「空知川に棄てるってマジ?」
腕を切り落としながら、成瀬がおもむろに早苗に説明したことである。空知川という名前は知っているものの、土地勘の無い早苗には規模が分からない。本当にそんなところに棄てて平気なのかという疑問と、母だったものをそのように遺棄することに成瀬は納得しているのかという、二つの意味を持つ質問だった。しかし、後者について何も感じていない成瀬は、前者の意図しか汲み取れない。
「穴場があるの。ただでさえ人は寄り付かないところだし、夜に棄てに行くつもりだから、多分大丈夫」
「まぁ成瀬さんに任せるけどさ」
「それでも捕まる可能性はゼロじゃない。棄てるのは私一人で」
「まぁまぁ」
早苗は成瀬の言葉を遮った。彼女は成瀬を一人で行かせるつもりなどなかった。ここまで来たら最後まで見届けたいと考えるのは、早苗の立場であれば当然である。作業を進める間に成瀬の態度が軟化することを祈って、また腕から一つ肉塊を切り分けた。
野球ボールほどの大きさに切り分けたそれをバケツに放る。水っぽい音が鳴って、また一つ作業が進んだことを成瀬の耳に知らせた。成瀬は負けじと鋸を強く引く。悪臭と体液が少し舞うような感覚を無視して、彼女もバケツの肥やしを一つ生成する。二人の作業の甲斐あって、両腕はほとんどがバケツとゴミ袋に収まっている。二重にした半透明の袋には至るところに血がこびり付いているが、そんな些細なことを気にできるまともな者はこの家には居ない。
「次、首いっちゃう?」
「寝なくて平気?」
「成瀬さんが言ったんじゃん。腐るまでが勝負だって。っていうかもうヤバいんじゃない?」
「私は作業を続けるから。早苗は寝てて」
「まだ平気。成瀬さんと違って若いし」
「言ってな」
成瀬は早苗の冗談を鼻で笑い飛ばすと、遺体の鼠径部に刃を当てた。服は既に脱がせてある。肌の色を見ただけで、おそらくほとんどの人間はこれが既に生きていないことを察するだろう。しかし、そんな変化も二人にとっては、本格的に腐り始めるまでのタイマーのような役割しか果たしていなかった。左脚を切り落とすのが目的だが、刃の先端が右の太ももに当たっている。成瀬は気にしない。早苗も指摘する素振りを見せない。どうせ後でバラバラにするのだから、気にするほどのことではなかった。
「この脚は止まらなかった」
「え?」
「躾と称して、私を空知川のほとりに放置して。私は必死に母を呼んだけど、決して立ち止まることはなかった」
成瀬はその絶望を昨日のことのように覚えている。大雨で川が増水していると地元のニュースが伝えている日だった。躾が必要だという口実の為に適当なことで怒られて、出かけると言われて母の機嫌が直ったのかと期待したのも束の間、川に連れていかれた。雨が冷たい秋だった。一晩ここで反省しろと言われたが、成瀬はあることを確信している。母は、自分に死んでほしかったのだと。だから自分は死んだ方がいいと思おうとした。事実そうなった方が楽だとも思った。幸いにも成瀬は無事だったが、一晩の間に誰かがやってくることは無かった。林の中で、一人ずっと暴力的な川の音を聞いていた。翌日、母が様子を見に来たときの、絶望的に残念そうな顔が忘れられない。
左右の鼠径部に半分以上の切込みを入れると、早苗と共に成瀬は遺体をうつ伏せにした。痩せ細っているとはいえ、人体を切ることは簡単ではないが、今の成瀬に成せない気はしなかった。
「高校を出て、それと同時に家を出た。滝川にいるのが嫌だったから、当別に」
「うん」
「仕事をして、だけど母のことが気がかりだった」
先に切り離されたのは右脚だった。休憩をすることなく、成瀬は左脚に刃を当てる。早苗は解体されていく体をじっと見つめて、成瀬の言葉に耳を傾けた。
「たまに実家に、ここに帰ってきて。何がしたかったんだろうね。愛されることなんて今更期待してなかったのに」
がりがりと刃が骨を削る。人の脂をたっぷりと含み、肉片をこびり付かせた鋸は本来の仕事の半分もこなせていない状態だったが、成瀬は構わず手を動かす。万に一つも愛されるはずのない人の元に通い続けた彼女にすれば、この作業に意味を見出すのは造作もないことだった。
「だけど、ここ一年くらいは、母の態度が軟化したんだ。期待していなかったはずなのに、嬉しく思う自分がいて。だけどすぐに理由が分かった」
「当てていい?」
「言ってみて」
「体に不調が出てきたとか、老人ホームに入りたいとか、そういう理由じゃない?」
早苗がそう言うと、成瀬は笑った。彼女の発言が見当違いだったからではない、大当たりだったからである。客観視すれば子供にも分かるようなことが、過去の自分が察せなかったことが、面白くて仕方なかったのだ。
「当たり。子供の頃の私は母さんにとっては疎ましいサンドバッグで、大人になった私はただの金蔓だった」
言い終わると同時に左脚が切り離される。達磨になった母の姿を見ても、成瀬は同情したりしない。母の身体のどこかに成瀬を傷付けなかった箇所があるならそこだけは綺麗な状態で遺棄してやろうと考えた彼女だが、そんな箇所は存在しない。髪を引っ張って頬を叩いた手が、容赦なく置き去りにした脚が、お前さえいなければと罵った口が、親らしく可愛がってやろうと思わなかった脳が、それを生かしていた臓器が、全てが憎かった。だから成瀬の母はバラバラになるしかないのである。
「母さんに真っ当な死に方を与える気はない」
「え?」
「さっき訊いたしょ。普通に葬式に出してやればいいんじゃ? って」
「あぁ。あのときは、この人がこんなにされる理由がある人だって、知らなかったから」
もう思ってないよ。そう言って早苗は笑った。短くない人生の中で、ようやく自分の悪い感情の理解者を得たというのに、成瀬はそれがとても空恐ろしいことのように感じていた。嬉しく思う気持ちがないと言えば嘘になるが、大人としての自分の役割を放棄しているように思えて仕方がない。しかし早苗がそんな対応を欲しているとは思えないので、成瀬は何も言えずに鋸を動かした。同じ年頃の自分がこんな風に言ってくれる誰かに出会えていたら、きっともっと素直に喜んでいただろうに。出会うのが遅かった。成瀬は訪れなかった過去の分岐点に思いを馳せて、息を吐く。すぐに冷静になって、煙草が吸いたいという、彼女にとって食欲にも近い欲求がにゃあと鳴いた。
作業は続く。眠気が声高に二人の脳を揺さぶっていたが、手は止まらなかった。いつの間にか朝の情報番組は終わり、テレビは下世話に思えるワイドショーや老人向けの通販番組を垂れ流していた。早苗は運勢占いを見忘れていたことに遅れて気付いたが、最高とも最低とも言えるこの状況をどのように言い表されても、きっと納得しなかっただろう。
「逆に」
早苗は膝の裏を削りながら切り出した。耳たぶの下から首から胸元へ。汗が流れていくのを感じながら、成瀬はいたずらっぽい声に耳を傾ける。視線を向けることはなかった。何度か聞いた声色は印象的で、たった三音で成瀬は早苗がこれからろくでもないことを言おうとしていると察していた。
「お母さんとの嬉しかった記憶とか、無いの?」
「早苗は?」
「成瀬さんに訊いてんの」
出会った頃と比べて、早苗は随分と生意気になった。それを成瀬は悲しく思う。早苗が心を開いたのは出会ってからの時間のせいではなく、同胞を見つけた安心感と喜びがそうさせたと考えているからである。本当はこんなにも子供なのに、学友にも自分を見せることなく生きていることが垣間見えた気がして、成瀬は勝手に悲しんでいた。
先ほどの「学生時代に早苗のような子と出会えていたら」という空想が再び頭を過る。成瀬が高校生の頃と言えば早苗はまだ生まれてすらいないのだが、現実的な問題は全て度外視して感情は迸る。早苗のような、ではなく、早苗でなければならないと考え直した。成瀬は、高校生の自分と今の早苗が出会う、そんなパラレルワールドが世界のどこかにあったらいいと、一瞬だけ祈ってから口を開いた。
「正月に一度だけ、母方の親戚に会ったことがある」
「うん」
「その時に、めんこいって言ってもらえた」
同情する気持ちが早苗に伝染する。誰がどう見ても容姿に優れている成瀬が大切にしているという記憶にしては、それは慎ましやか過ぎた。きっと子供の頃から可愛かったろうに、わざわざこんな場面で口にしてしまうほど可愛がられた経験に乏しい成瀬が、早苗はどうしたって可哀想だった。母との良かった思い出を訊かれてもなお、直接的な幸せな思い出が一つもない成瀬を、どうにかして幸せにしてやりたくなる。自らの無力さを理解した上で早苗はそう思った。憂さ晴らしに付き合うことで少しでも楽になるのならと、まずは手元の太ももを三等分しようと決意する。
「早苗は?」
「スマホを買ってもらえたことかな」
「今風だね」
「まぁね。そのおかげで、成瀬さんに出会えた」
片刃の鋸をぐいと押して刃を進める。この不毛にも思える前後運動が成瀬を救う唯一の道だと信じているから、早苗は手を止めない。
時間と共に、臭気は強まっていく。暴力のような臭気が時間を追う毎に、もしくは切り分けたパーツが増える毎に、驚くことに増していくのである。いよいよ気のせいと思えなくなってきた早苗は一つ提案をする。
「これ、洗わない?」
「は?」
「だって臭いし。棄てる時に血がたくさん落ちてたら、後から見つかるかもしれないし」
「まぁ……」
成瀬は空知川に佇む自分を想像する。河原に血が滴って痕跡が残ることは、確かに避けたい事案であった。捕まる覚悟まで既に済ませてから凶行に及んではいるが、リスクを軽減できるのであれば、それに越したことはない。
「わかった。早苗、頼んでいい?」
「もっちろん!」
明るい声色で、早苗はバケツを抱えた。中学の頃に着ていた服を早苗に貸した成瀬だが、不要品が更に血に塗れることなど今更どうでもいいので、持ち方にケチを付けるつもりはなかった。成瀬はただ、不意に見せつけられた若さに舌を巻いたのである。寝不足の状態から死体解体という作業を何時間もして、どこにそんな元気が残っているのだろうか、と。
何故か背中まで汚れてしまっている後ろ姿を見届けると、成瀬は作業を再開する。早苗は、台所の流しにバケツを置くと蛇口を捻った。バケツの中に水が溜まって、溢れてくるのは赤茶色の液体である。透明な水がバケツに入った瞬間に別の液体に変質しているかのように、それはいつまでも溢れ続けた。時折、肉片が混じって流れ出る。
溢れる水の透明度が少し上がったことを確認すると、新たな袋を用意してそこに洗った肉を放った。輪切りにしているつもりではあるが、どれもこれも歪で、主に骨のせいで大きく形は崩れている。バケツが空になると、最後に排水溝のゴミ受けを持ち上げて、肉片も忘れずに棄てた。
「成瀬さん、手伝ってー」
「何を?」
「袋に入れたやつも綺麗にしてから袋に移したいの」
「あぁ、分かった」
早苗の声掛けのおかげで、成瀬は鋸から手を離す。彼女がそれを握っていない状態になるのは実に数時間ぶりのことであった。側にあった袋に触れる。重さや尖ったもので破けないように持とうとしたところで、早苗が慌てて駆け寄ってくる。台所へとゴミ袋を移動させると、それから自然と二人の役割分担が始まった。
バケツが一杯になると、成瀬はそれを台所へと運ぶ。受け取った早苗は綺麗にしてから袋へと移す。洗う作業が無い時は、早苗も解体を手伝う。そうして遺体の脚が無くなる頃に、二人は久方ぶりに自らの欲求と向き合うこととなった。
「さすがに眠たいかも」
「うん」
二人は台所に並ぶ。切るべき肉が無くなったことから、肉塊を洗う早苗の傍らに成瀬は立っていた。つい先ほどまで水が出ていた蛇口の、真ん中の青い部分を眺めながら、成瀬は一人腕の重さと戦っていた。これで四肢を切っただけとは考えたくない疲労感である。
「あと、お腹減った」
「肉ならそこにあるよ。お好きなだけどうぞ」
「ははっ」
珍しい成瀬の冗談に笑って見せると、早苗は数歩歩いて、何の前触れもなく冷蔵庫を開ける。成瀬はそれを黙って見守っていたが、中に食材が入っていたとしても、居間と繋がっているこの台所で調理する気にはなれないと気付く。
「うーん。玉子と、納豆」
「この中で食べるつもり?」
「だって、どうしたらいい?」
「とりあえずお風呂に入って、私が買い出しに行ってくるから」
「え、私も行く」
「馬鹿。捜索願が出されていたら」
「出されてるわけないじゃん」
冷たい声が響く。成瀬が窺うように早苗を見ると、彼女は当然のように言い放った。
「お父さん、世間体とか大事だから。娘が出てったって思われるの、絶対イヤだよ。多分、そうだなー。あと数日したら捜索願を出して、その時は悲劇のヒロインって感じで心配したフリをすると思う」
おっさんが悲劇のヒロインとかキショすぎでしょ。早苗はそう付け足して笑う。冷静に父を分析した早苗の横顔が、成瀬に突き刺さる。そんなことないと否定する気にはなれなかった。もしそれほどまともな父親であったなら、早苗がここに来ることは無かった。きっと彼女の分析は正しい。それが成瀬には分かるから、悲しかった。
「お風呂、あっちだから。臭いが取れるといいけど」
「したっけ三回シャンプーしよ!」
「そういう問題?」
二人は作業に使用したゴム手袋をテーブルに置いて、その場を離れる。部屋を出る際には、服と靴下も脱いだ。血生臭い物はできる限りこの空間に留めようとしたのである。下着姿で風呂場へと向かうことになった二人だが、早苗は成瀬の胸ばかりを見つめていた。中断を決めた二人は、開放感に支配されていたと言える。だから、遺体の口から一匹の蝿が飛び立ったことに気付かなかった。
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