第22話

 布団に入り、久しぶりにお母さんと並んで寝る。子供の頃は当たり前だったことも、今してみるとなんだかくすぐったい。落ち着かなくて何度も寝返りをうった。

「佑紀君、勉強はできてるの?」

お母さんもまだ寝ていなかった。心配そうな声で言ったお母さんの方を向く。

「うん、多分。講義は毎回休まず言ってるみたいだし」

「えらいわねぇ」

お母さんは関心するように呟く。

「…ねえ、お母さん。1つ聞いてもいい?」

私はずっと気になっていたことを思い切って聞いてみることにした。

「何?」

お母さんの声は佑紀君と同じで、優しくて聞いていると安心できる。

「私って、佑紀君の負担になってないかな?」

「―そう言われたの?」

私は首を横に振る。布団と頭が擦れて、小さな音を立てた。

「なら、そうじゃないんじゃない?佑紀君が無理してるようには見えなかったし。緊張はすごくしてたっぽいけどね」

お母さんはクスッと笑う。私もつられて笑った。

「それに、そんなことを思われてる方が佑紀君は可哀想だと思うわ」

「何で?」

私は不思議に思って、間髪入れずに聞く。

「だって…愛してる人に思ってもないことを理由に、遠慮とかされたくないじゃない。これは私の意見だけど。少なくとも、私ならそう思うわね」

たった1人の母でもあり、人生の先輩でもあるお母さんのアドバイスは、まるでそれが正解のように思えてしまう。

「佑紀君のことを、歩がどこまで信じられるか。それ次第で、関係はもっと良くなるはずよ」

落ち着いた声で言った後、お母さんはニコッと微笑んだ。私の心に、佑紀君に対しての罪悪感と少しスッキリした気持ちが広がった。

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