第21話
私達は浴衣に着替え、隣の部屋に移動した。晩ご飯くらいは4人で食べよう、というお父さんの意見だった。
「このお刺身、めっちゃ美味しい!」
私と佑紀君が並んで座り、その前にはお父さんとお母さんが座っている。佑紀君の緊張は、だいぶ解けてきたように見えた。
「佑紀君、これ食べてみな!俺のオススメ」
お父さんはお酒が入って少し酔い始めている。佑紀君は律儀に「はい!」と返事をして、すすめられた料理を口に入れた。
「本当だ!美味しいです」
佑紀君は食べ方が綺麗だ。口の中に食べ物が入っている時は絶対に喋らないし、最後まで綺麗に食べる。食べこぼしもないし、箸の持ち方もすごく綺麗。それに、好き嫌いもなかった。
「佑紀君は、本当に美味しそうに食べるのねぇ」
だから周りの人も自然に笑顔になる。私はそれがすごいことだと思う。
「美味しい物を食べると、顔の筋肉が緩んじゃうんですよね。幸せなんだと思います」
佑紀君は少し恥ずかしそうに笑う。お父さんもお母さんも、すっかり佑紀君のことが大好きだ。
部屋に戻り、私達はまたお風呂に入る準備をしていた。
「ご飯、どれも美味しかったわねぇ」
お母さんは廊下を歩きながら、満足した様子で言った。私もその声に頷く。
「朝ご飯も楽しみだな〜♪」
私が言うと、お母さんは「本当にね」と言って笑う。お母さんの口元に、小さなエクボができた。
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