第5話
大学に行って、智菜と帆貴に結婚の報告をした。
「え!?待って待って!すごい急じゃないっ!?」
まあ、当然驚かれた。
「おいおい、佑紀!お前…よ、よくやったなぁ!」
「帆貴君、なんか変になってない?」
帆貴は祝福してくれてるんだろうけど、驚きすぎて語彙力が死んでいる。
予想はしてたけどね。でもその予想を超えて、はるかに面白いことになっている。
「いや、本当に急じゃんか。何かあったんだろ?」
帆貴は人をよく見ていて、そのうえ勘が鋭い。佑紀君が「まあ…ね」と言って私の方を見た。私は話してもいいよと頷く。自分で話すのは、まだ少し辛かったから。
「歩ちゃんのおばあさんが、余命宣告されちゃって。だから、亡くなる前に、歩ちゃんのウェディングドレス姿を見せてあげたかったんだ」
私は佑紀君の隣でその話を、ただじっと固まって聞いていた。身近な人がもうすぐ死んでしまうかもしれないというのは、やっぱりこたえる。まだ、あの後おばあちゃんには会いに行けていなかった。
「結婚式、絶対呼んでね!2人の写真いっぱい、いーっぱい撮ってあげるよ!」
智菜はそう言うと、私に抱きついた。背の低い智菜は、丁度私の肩に頭が乗る。少しバランスを崩しながらも、私は智菜の背中に腕を回した。
「うん、もちろん呼ぶよ!写真、よろしくね!」
帆貴も佑紀君と顔を見合わせて笑った。
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