第7話

 今はHRの時間で、教室で体育祭の選手決めをしている。うちの中学は1人2種目まで出場できるから、私はクラス対抗リレーとあと1つ出れることになる。

「聖夏、僕は借り物競走と学年対抗台風の目に出るけど、どうする?」

 黒板に書いてある種目を見ながら悩んでいると、充玖が急に顔を覗き込んできた。

「クラス対抗リレーはもう決まってるから、あとは学年対抗台風の目にしようかな」

「了解、穂南ー!聖夏、学年対抗台風の目出るって!」

 ああ、そういえば、あの2人体育祭の実行委員だったっけ。ボヤッと黒板を眺めていると、台風の目の欄の下に穂南の名前もあった。でも男女2人ずつの4人で出場だからあと1人。他の4クラスが誰を出してくるかはわからないけど、まあ、このクラスのメンバーなら誰でもいっか。そう思っていた時。

「俺、台風の目出ようか?」

 1人の男子が手を真っ直ぐ上に挙げた。

「お〜!大輝だいき、ナイス!」

 岩村大輝いわむらだいき、穂南の彼氏だ。野球部のエースが入ってくれるなら優勝も夢じゃないかも。少し期待が膨らんだ。

「よし、これで全種目の出場者枠埋まったね。絶対優勝するぞーっ!!」

穂南の掛け声に皆が片手を上げて「オーッ!!」と叫ぶ。団結力だけで言ったらうちのクラスがダントツで優勝かな。


 今は終業式も終わり、ぞろぞろと教室に戻っているところだ。校長の話が長すぎて立ってるのも座ってるのも辛い。でも、やっと夏休みが始まる。来年は受験で遊んでいられないから、今年はめいいっぱい遊ぶぞ!と、意気込んだのはいいけど、課題の量がバカみたいに多かったことを思い出した。

 教室に戻るこの間だけでも夢を見ていたかったなぁ、なんて。思い出した自分が悪いんだけど。

 私はガクッと肩を落とした。

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