第4話

 運が悪いのか、今日はなんと家庭科の中でも最も嫌いな裁縫の授業の日だった。

 私、針を出すと必ず最低でも、指5本は怪我するんだよね。小学生の頃から周りの子達よりできてないな、とは思っていたけど、中2になっても未だに波縫いで指刺すなんて。私はこの現実を受け入れたくない。

「あら、七海さん。この山のような糸くずは何かしら?」

「うっ。これは…たま結び、だった糸達です」 

 下を向いて縮こまりながら説明すると、先生は呆れたといでも言うように頭を抱えた。

「今までにも手芸ができない生徒を見てきたけど、こんなにできない生徒は初めて見たわ」

 そんなになのか…。いや、手芸は苦手だけどさ。私みたいな生徒他にもいたでしょ、絶対。

 ふと隣の班の机を見ると、充玖が余った布で次々と可愛いマスコット達を作っていた。本当どっちが女子やら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る