雲依浮鳴

【色】

 作:雲依浮鳴(ゆくえふめい)


一人読み台本

語り手:性別不問

所要時間:5分未満


――――

「色」

 作:雲依浮鳴(ゆくえふめい)

https://lit.link/natoYukuefumei


語り手:


――――


―本編―


隣の芝生は青い


生き生きとした綺麗な青だ。


綺麗なのは芝生だけか?


いいや、隣の花も鮮やかで赤い。


隣の自転車は粋な黄色。


隣の色は・・・


本当に隣の彩(いろどり)が綺麗なのか?


自分の芝生は?


自分の花は?


どれも霞んだ色をしている。


それはそうだ、隣の物の方が目新しい。


目に新しいから、色も良く見える。当然の事だ。


お隣さんは、自分に持っていないものを持っている。


別物というわけだ。


元は同じ芝生であっても、手入れの仕方が違う。


手入れの仕方が違えば質も変わってくる。


つまり、同じ物など存在しない。


オリジナルだ。


そう、君自身もオリジナルを持っている。


君の芝生も花も、お隣さんから見れば輝いているに違いない。


だから・・・はは、そうだ。詭弁だよ。


素直に言おう、色褪せて見えるのは、単に古いからだ。


新しいものを取り入れればいい。


そうやって成長し、進化していくものだ。


そうやって時代も進む。


周囲の色は鮮やかで、自分が色褪せているのなら。


それは、取り残されている証拠だ。


そして、成長のタイミングでもある。


さて、


染まる事を恐れずに先に進むのか、


恐れる事を良しとしてそのまま錆びついていくのか、


君はどうしたい?


ほら、隣の芝生は青いだろ?



―END―

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雲依浮鳴 @nato13692

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