復讐の雷牙

第9話 雷牙vs森峰

　2人は互いに相手の出方をみる。緊張感漂う中、先に動いたのは雷牙だ。左手を開いて腕を伸ばし、視界を防ぎながらローキックを放つ。だが、森峰は反応し、脛で蹴りをガードする。素人ならば打った方も受けた方も痛いが、鍛え抜かれた脚は鋼の硬さ、お互いダメージは小さい。

　蹴り後の隙を捉えんばかりに今度は森峰がワン・ツーを放つ。しかし雷牙も強者、そこを狙ってくることは読んでおりしっかり腕を上げてガードをする。打ち終わりに合わせ雷牙はストレートを打つが森峰はこれを額で受け止めた。

　お互い半歩下がり、戦況は振り出しに戻る。次に仕掛けたのは森峰、左手によるジャブジャブフックの三連撃。雷牙の意識を左に惹きつけつつ、打ちながら立ち位置を最適の蹴り位置に移動する。そしてすかさずほぼ垂直の右上段蹴りを放つ。この蹴りは威力が下がるが素早く相手の頭部を狙える。雷牙は間一髪左腕を上げてブロックするが、少しだけバランスを崩す。その一瞬の隙に放たれた中段突きが雷牙の腹部を捉える。

「ちぃ…」

　強烈な一撃に雷牙の顔が歪む。　このチャンスを逃さず、森峰はすかさず右中段蹴りを放つ、今度は斜め45度から、威力を重視した渾身の蹴りだ。

「ぐっ…捕まえたぜ」

　雷牙はその蹴りを受けながら左腕でガッチリとキャッチする。そのままの体勢で右ストレート。森峰は左腕でガードを構えるがこのストレートはフェイント、森峰の右脚を掴んだ左手を引きバランスを崩した刹那、そのまま左手を離しつつ左フックを打つ。その一撃は速さに特化しているため威力こそ低いものの、的確に顎先を打ち抜いた。

「__i」

　バランスを崩した森峰の顔面に雷牙の渾身の右ストレートがくい込む。雷牙の身長から繰り出される、打ち下ろし気味に放たれたその右は雷の如し破壊力だ。

「がはっ…」

　そのまま森峰は吹き飛び、ダウンする。

「ま…まだだ………っ」

　森峰はふらつきながらも立ち上がり、雷牙に突進をする。大した気合いの持ち主だ。雷牙は受け止めて素早く脇を両手で差す。

　組み合う際は脇を差した方が力を出すことができ、有利になる。これを知っているか否かで組みでの戦いには天地の差が生じる。

　雷牙は森峰を投げ飛ばし、すぐに起きあがろうとする刹那、顔面にサッカーボールキックを決めた。森峰さ派手に転がった。これを食らった森峰は流石に立てなかった。

「俺の勝ちだな」

　雷牙が勝利し、決着は大将戦へと持ち込まれた。