第8話 悪流紅蓮威

 移動中、零司は敵について知っている情報を話す。

 悪流紅蓮威は結成まだ半年。勢力を増やすために強引な手をつかっており、空也の他にも断った人間には報復をしている。リーダーの赤羽俊二は狂人であり、平気で人を殺せる。副リーダーの森峰快晴もりみねかいせいは元々別の小さなチームを作っていたが、入らなければメンバー全員の家族を殺すと脅され、まとめて加入した。また、初期メンバーは学生時代などのパシリで構成されている。

 その中の一人、大伝田剛志おおでんたごうしという男は身体が大きく力も強いが気が弱く内向的なため赤羽にいいように使われている。


 ………


 やがてアジトに到達した。見張りは2人


「片方は俺の仲間の碑文谷って奴だ。もう一人は1番下っ端の森田。取るに足らない相手だ」


 雷牙はその名前を何処かで聞いた気がしたが、思い出せなかった。車を停め、堂々と正面から向かう。


「お前ら、誰だ?」


 見張りの森田が言うと横の碑文谷がバットを振りかぶり…


「俺の仲間さ」


 そう言って頭に振り下ろした。


「ご苦労さん、碑文谷」

「待ってましたよ、零司さん」


 中の連中も外の異変に気づく。


「てめぇら、俺らのアジトに乗り込んでくるとは、死にてえのか?」


 リーダーの赤羽だ。


「ん、お前白川零司だな?それにSPEARの連中…お前は白川のツレか?」


 突然笑いだし。


「探す手間が省けたぜ、テメェら!あいつらを「ちょっと待ってくれ!!」


 雷牙が遮る。


「あ?なんだ?」

「被害を最小限で白黒つけたい、代表一人のタイマンで決着つけないか?」


 悪流紅蓮威の連中は文句を言う。


「ふざけるな!」

「お前らのほうが少ないだろ!!わざわざタイマンっておかしいだろ」


 連中ガヤガヤ、ガヤガヤ騒いでいると銃声が響く。零司が上に向かって発砲したのだ。一同は沈黙する


「…断るならいまから全員殺す」


 一人の下っ端が向かってくる。


「てめえか、俺のなか「パンッ」m」


 零司は容赦なく頭を打ち抜いた。


「うわ、や、やりやがった」


 仲間のジャックもドン引きだ。


「ち…わかった。だがタイマンじゃなくて3人代表タイマンにしろ」

「いいだろう」


 赤羽の申し出を零司はのんだ。思惑とは少し違うが被害はこれ以上にはならないだろう。


「先に2勝したほうの勝ちだ、いいな」

「異論はない」


 赤羽はめんどくさがった。他の2人が負けることなどないと思いこの提案をしたのだ。


 ………


 お互い早速最初の一人が決まり、まえにでる。


「行ってくる」


 こちらの先鋒はジャックだ向こうは身長もあり太っている。パシリの中で最も強い男、大伝田剛志だ。


「行くぜ!」


 ジャックが先手を取りに行く。ジャックも大柄だ、その重たい拳は顔面に向かう。


「ぅう」


 大伝田はガッチリガードをするが、ガードの上からでも響くだろう。すかさずジャックはパンチの連打、右、左、右と大振りのパンチを浴びせる。


「……」


 大伝田は険しい表情をみせるも、全て受けきってみせた。


「奴は俺がさんざんサンドバッグにしてやったからな、打たれ強いぞ」


 赤羽は汚く笑う。そして状況が動く。

 ジャックは連打で疲れたところを大伝田は掴みかかり、そのまま押し倒した。


「ぐはっ!いてぇ」


 地面と大伝田に挟まれダメージを受ける。そしてそのまま巨体で押しつぶす。

 ジャックは喧嘩慣れしていなかった、緊張状態で動くとどれほど疲れるか、ガードをされたらどこを狙うか、痛みに慣れているか、上に乗られたらどう対処するか、何一つできなかった。大伝田の腕はしっかりジャックの首に圧力をかけている。ジャックは落ちる寸前だ


「ジャックの負けだ!そこまでにしてくれ!」


 雷牙が叫ぶ。大伝田はそれを聞くと攻撃をやめて立ち上げる。


「まずはこちらの勝ちだな」


 赤羽が得意げにニヤける。


「げほ…す、すまねぇ…」


 ジャックは落ち込んでいる。


「大丈夫だ、あとは任せろ」


 お互いの中堅が前に出た。雷牙と対峙したのは森峰快晴。喧嘩の実力は赤羽以上の悪流紅蓮威のエースだ。


「俺で終わりだ」


 森峰の圧力は一流、強者だとわかる。


「悪いが、俺は負けないぜ」


 2人が構える。その瞬間、お互いに気づく。相手は格闘技経験者だと。

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