第一章 SPEARと悪流紅蓮威

第2話 15年後

「この時を待っていたよ」

レイジが迎えに来てくれていた。

今日は出所祝いに、レイジがライガに焼き肉を奢るという。


………


店の前に一人の男が待っていた。 


「はじめまして、金山トウゴと申します。ライガさんのことはレイジさんからうかがっています、よろしくお願いします」


レイジの友人らしく、歳は10個下だ。


「俺はライガ、こちらこそよろしくな、そう気を使わなくていいよ」


…高校時代こと、事件のこと、色々話し、気がつけば時間はかなり経っていた。

ライガにとっては久しぶりのご馳走であった、胃袋が小さくなったのか、思いの外あまり食べられなかった。


「ところでライガ、これからどうするんだ?世間では元殺人犯のお前を雇ってくれるところなんてないぞ」


レイジが問う。


「わからねぇ、まだ何も考えてねえ」


ライガは出所支援を断っていた。出所してまで何かに縛られたくなかったのだ。


………


店を出て解散しようとしたとき、

3人組が声をかけてくる。全員赤ジャージだ


「あー、お前SPEARの金山じゃねぇか、誰に許可得て歩いてんだコラ」


ライガはレイジとトウゴに問う


「こいつらは?」


レイジがこたえる


「あの赤いジャージは悪流紅蓮威(アールグレイ)っていうチンピラ集団だな。」


「あ?誰がチンピラだぁ?舐めんじゃねぇぞコラ」


赤ジャージの一人がレイジに殴りかかる


「コラって口癖?」


そう言いながらいとも簡単にその拳をかわし顎先に掌底をかます。


「ごふっ」


「ダサいね」


赤ジャージは血と歯を撒き散らしながら倒れる。


「コイツら、やりやがった!」


残りの赤ジャージが襲いかかる

次はライガが一歩前に出る


「どきやがれ!」


赤ジャージ2が大振りの右フックだ


「悪いがそんなもんはあたらねぇな」


ライガは完璧に合わせ、右ストレートを打ち下ろし気味に顔面に放つ。

素人の意識を刈り取るには充分すぎる一撃だ。


「て、てめぇら!俺たちに歯向かったら、もうこの街で生きていけるとお、思うなよ!」


赤ジャージ3 はそう叫ぶと仲間を置いて逃げ去った。


「レイジやるようになったじゃん」


「ライガは相変わらずだね」


二人は余裕綽々だった。

それを見たトウゴが言う。


「あの、ライガさん、レイジさん、SPEARの…俺のチームの仲間にあってください!」


赤ジャージ共も言っていたが、トウゴはSPEARというチームに所属しているらしい。


「SPEARか、確かリーダーは一ヶ月ほど前に悪流紅蓮威の連中に消されたんだよな。いまはそのリーダーの女がボスで確か、3人くらいか?」


レイジが言う。ライガは疑問に思う。


「お前、なんか色々詳しいな、情報屋にでもなったのか?」


「あぁ」


「え!?マジなの??」


ライガは冗談交じりで言ったが、レイジは本当に裏社会の情報屋になっていた。

15年の間に何があったんだ。


「話くらいなら聞こう、時間が合うとき、連絡してくれ。あと悪いけどライガを泊めてやってよ。遅いし、寝床の確保も難しいだろうし、色々話を聞いてもらいな。さて今日は解散しよう、追手が来てもめんどいからな。またな2人とも」


レイジはそう言って去っていった。


「ライガさん、おれんち、こっちです!」


「いいのか?泊めてもらって」


「もちろんすよ、今日助けてもらったし、それにレイジさんのお願いは断れないっすから!」


ライガは15年分の刑務作業の報奨金約60万ほど持っているため、適当なホテルに泊まりたかったが、断るのも野暮だとおもい言葉に甘える事にした。


………


「ただいまー」


「おかえりトウゴ、あら、お友達?」


なんと母親が出迎えだ


「あ、お邪魔します」


おいおい実家かよ、断わりゃよかった!と思うライガであった。

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復讐の雷牙 @teikao7857

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