復讐の雷牙

@teikao7857

第0章 15年前

第1話 奪われた日常

普通の高校生活

普通の毎日

残暑の残る9月の半ば


これは日本の何処か

人口約230万人の都市

【龍顎市(リュウノアギトし)】の物語


「じゃ、行ってくるわ」


そう言ってアパートを出た少年、

【霧雨ライガ】は高校2年生。

両親と3人暮らし、貧しくも幸せな家庭だ。

成績は中の下、運動神経は平凡。身長は高く痩せ型の彼だが、喧嘩だけは一人前に強い。

中学2年生の頃からキックボクシングを習っている。


「ライガ、おはよー」


声をかけてきたのは同じ団地の同級生、

【白川レイジ】だ。

母子家庭で貧しくも、彼も不自由なく暮らしている。

レイジは成績も運動神経も下の下で、喧嘩も弱い。だが人間としてはとても良い人であり、ライガにとっては親友だ。


「おはよーさん、昨日のボクシング見たか?」


「あぁ、見た見た!マジで最高だったな!」


他愛もない会話をし、

いつも通り学校に向かう。


………


教室に付くと皆、クラスのボスに挨拶をする。


「おはようございます」


「おぅ」


この男は神道アマネ、神道リキゾウという政治家の息子であり、不良だ。生徒はもちろん、教師すら気を使っている。

小さな頃からあらゆる習い事の英才教育を受けており、喧嘩の腕も一流だ。


無視して席につくのはライガとレイジだけだ。

2人はこの不良グループが嫌いだった。


「ぉ、ぉはょぅございます」


そこにアキオという生徒が来た。


「おいアキオ、てめぇ今日の金は?」


アキオはアマネ達不良グループのイジメの的であった。


「おい、やめてやれよ」


ライガが止めると不良グループは舌打ちをして離れていった。


………


その日の深夜、ライガの携帯がなる。

アマネの右腕、三谷キョウイチからだ。


「アマネさんが呼んでいる、今から学校のグランドに来い」


深夜0時だ、ライガは逃げたと思われても嫌だったので向かうことにした。


………


校門を乗り越え、グランドにはいる。

しかし、誰もいないじゃないか。

目を凝らすと、誰かが倒れているのが見える。

ライガはすぐに駆け寄る。アキオだった。


「おい!アキオ!大丈夫か!?」


その時―


「動くな!」


ライガはいきなり後ろから押さえつけられた。


(け…警察?)


「霧雨ライガ、殺人の現行犯で逮捕する」


全く意味もわからず、理不尽に、ライガは逮捕された。何を言ってもマトモに取り合ってもらえず、パニックのまま、意味不明のまま、ライガは15年の有罪判決を下された。

最後までライガを信じて戦っていた両親は突如、交通事故で亡くなった。


………


ライガが身代わりにされたのだ。

レイジは度々面会に来てくれていた。


「ライガ…俺は俺なりにお前の役に立ちたい。力をつけて強くなる。」


レイジは、ライガの力になりたかった。


「ありがとよ、相棒」


ライガにとってもそれは支えであった。


………


ときは流れ、15年後

出所を迎える日が来た。

霧雨ライガは32歳になっていた。

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