第3話いざ隣国へ!

隣国に向かう際に馬車の窓から大きな大海を見つめ呆然と立ち尽くす青年の姿が見えた。

彼は銀色に染まった綺麗な髪をしており、陽の光に照らされ光が反射して輝き、波風が吹くとより一層、綺麗に靡いていた


私が彼を見ていると隣に座っていたメイドがあの者はいつも同じ場所から大海を眺め続けていることを耳にした。

メイドに聞いた話によると彼の職業はミイラ作りであるとのこと


ミイラを作る理由に死者が死後の世界でも生存していけるようにミイラで形どった身体で支えてあげようという現世に取り残されてしまった者たちにできる当時では最善の方法だったのだろう

時代は変わり現在我が国の埋葬として火葬が主体的なものになってきている。

だが、少数ではあるが死者を思いやりミイラで埋葬する者もいるのは確かだ。


彼はこの通りの近くにある村から少し離れたところで一人で暮らしいるらしい

近隣に住む者からは話しかけても物静かで頷くだけらしい

住民も当初は独り身である彼を気遣い話しかけていたものも少なくなかったようだが、だんだん気味悪がり話しかけるものも今では仕事で依頼をする者だけになってしまったらしい。


あーしていつも立ち尽くしているため巷で変わり者として有名になってしまったらしい。

私が彼を凝視しているとそれに気づいたのかこちらを振り返り会釈をしてきた

どうやら彼は馬車についている王族の紋章に気づき会釈をしたのだと私は解釈した。

私も彼の会釈に相対するように会釈を返した。

隣で一部始終を見ていたメイド(カルロス)からはあのような身分の低い者に会釈を返すのはおやめくださいと指摘されてしまった。

どうやら彼が変わり者であること、変な勘違いでもされたら困るから辞めてほしいという考えがあったみたい


1刻程経過したところで隣国が視認できる距離まで近づいてきた。

要塞からは膨大の数の最新鋭の大砲が設営されており、さすが武力最強の国であると再認識させられた。

隣国の門番に通過証を見せ門から要塞の中へと繋がるトンネルを潜り抜け中に入るとたくさんの人で賑わう祭りのようなものが行われていた。

どうやらその祭りは私たちシシマニガミ王国の代表である私たちを歓迎するものだったようだ

少し歩くと当国の王子が自ら出迎えてくれた。

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