第82話

でもコーヒーを飲むと余計にタバコが吸いたくなるわけで。




結局どっちにしても吸わなきゃ気が済まない俺は、残りのコーヒーを飲み干してバカでかいショッピングモールを出た。




とりあえずタバコ吸いがてら、昼飯でも食おうと立ち寄ったラーメン屋で、椅子に座るなりタバコをくわえて火を着ける。




そして肺いっぱいに吸い込んで、ゆっくり吐き出しながら店のオバチャンにミソラーメン大盛りを頼んだ。




程なくして運ばれて来たラーメンを平らげて、もう一本タバコを吸って店を出て、これからどうしようかと考えあぐねていると、パンツのポケットでスマホが震えた。




『もしもし』




気怠げに電話に出れば、耳に届くのは不機嫌そうな勇介の声で。




『お前、あの後どうしたんだよ。1人で勝手に帰りやがって。会計めっちゃ高くてマジ最悪だし!』




電話の向こうから聞こえる文句に、俺は




『負けた奴が払うってゲームなんだから仕方ねぇだろ。歌が下手なお前が悪い』




と、歩きながら言い返す。




そんな俺に、勇介は『けっ。次は負けねぇからな』と吐き出して。




(まだ懲りずにやるつもりかよ)




と内心突っ込んでみる。




すると勇介はコロッと話を変えて。




『てか、ひよりちゃんとはどうなった?』




その問い掛けに、俺は思わず足を止めてしまった。




そして若干の動揺を悟られないように、再び歩き出しながら答える。

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