控え目な星達 「ホントに最低ね」
第79話
ひよりの唇を強引に奪った翌日。
朝からタバコが切れて、コンビニに行こうと部屋を出た瞬間。
まるでデジャヴュの様に、目の前にひよりが現れた。
目が合った途端、ひよりはフッと視線を反らして目の前を通り過ぎようとして。
その瞬間、俺は自分の意に反して、ひよりの腕を掴んでた。
行く手を阻まれたひよりは、俺の顔をキッと睨みながら声を荒げる。
『まだ何か言いたい事があるの!?』
その言葉に、グッと奥歯を噛み締める。
言いたい事なんかない。
何も考えずに、ただ、無心でひよりを引き止めていた。
だから俺は、とっさに、
『夕べは、悪かった』
と、小さく呟いた。
そして、僅かに目を丸くしたひよりから目を反らして、掴んでいた手も離して、ひよりの横を擦り抜けて、コンビニに向かった。
その道中、ひよりの戸惑った様な顔が頭から離れなくて。
俺の脳内に残る残像を掻き消す様に、きつく目を閉じてブンブンと頭を振ってみる。
でも、無駄な足掻きだった。
それどころか逆効果で。
今度は夕べのひよりの泣き顔が蘇ったり。
俺はそんなポンコツの脳ミソに腹が立って、『ちっ』とデカイ舌打ちをした。
そして、今いる場所がコンビニのレジだって事に気付いた時にはもう遅くて。
目の前の店員が酷く怯えた様な顔で『すみません』と呟くもんだから、
(何か悪ぃ事したのかよ)
と、心の中で突っ込んで店を後にした。
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