第76話

俊ちゃんのキスひとつで、自然に体の力が抜けて行くのが分かる。




それを悟った俊ちゃんは、ゆっくりとあたしの中に指を滑り込ませた。




そして味わう様に、確かめる様に、ゆっくりと指を抜き差しする。




次第に痛みが和らいで来て、俊ちゃんの指の動きに合わせて漏れる甘い声。




そしてあたしは、俊ちゃんの指や唇や舌によって与えられる甘い刺激に酔いしれて、溺れていく。









どれくらい経っただろうか。




朦朧とする意識の中、俊ちゃんがあたしの顔を覗き込んで、




『ひより、俺もう限界』




と、低く艶のある声で囁いた。




その声で、あたしはハッと我に返る。




そうだ。




気持ち良くしてもらってたのはあたしだけで、俊ちゃんはまだ何も与えられてないんだ。




そう理解した瞬間、次に襲うであろう痛みに自然と体が強張った。




でも、自分のバスローブを脱ぎ捨てた俊チャンの体を見た瞬間、あたしの胸が高鳴った。




長年柔道を続けて鍛え上げられた体。




爽やかイケメンで優しくて穏やかな俊チャンからは想像も出来なかった体に、あたしの心臓は激しく暴れてて。




そんなあたしに、俊ちゃんは優しく囁く。




『力抜いて、優しくするから』




次の瞬間。




あたしの入り口に、熱く堅い物が宛がわれた。




そして、俊ちゃんがあたしの中にゆっくりと入って来る。












夢を見た。




大好きな人と、甘く熱いキスをする夢。




でも、唇を離した直後に目に映ったのは、大好きな俊ちゃんじゃなかった。




その瞬間。




ハッと目を開けて、現実に引き戻された。




そして目の前には、大好きな俊ちゃんの顔が。

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