控え目な星達 「もう我慢の限界」
第61話
ピピピピピピ!
スマホのアラーム音で目が覚めた。
頭が痛い。
夕べ、あの後どうやって帰ったのか覚えてない。
決して酔ってた訳でも、二日酔いでもない。
ただ、ショック過ぎてあの後の記憶が飛んでしまった。
夕べ、カラオケで飲んでる時に俊ちゃんから電話が来た。
急いで電話に出たあたしに、俊ちゃんは優しい声を聞かせてくれて。
完璧に舞い上がってたあたしは、近付く人影に気付かなくて。
『おね〜さん!1人で何してんの?良かったら俺らと一緒に歌おうよ』
壱星クンと勇介クン程のイケメンを見てるからか、お世辞にもカッコイイとは言えない様な2人組の男に声をかけられて。
あたしがオドオドするのをニヤニヤしながら見据える男が、あたしに向かって腕を伸ばした時だった。
あたしの周りにスッと影が落ちて、直後に低い声が唸る。
『コイツ、俺の連れだから。他あたってくんねぇ?』
あたしに向かって伸ばされた腕を制して言うのは、壱星クンだった。
長身の彼が男達を睨み下ろせば、男達は焦った様な顔を見せてスゴスゴと立ち去って行った。
イケメンなだけに、鋭く光らせた瞳には凄みが増してて。
彼等が逃げるのも無理はない。
彼等の背中を睨みつける壱星クンに『ありがとう』と笑顔を向けるあたし。
そんなあたしに壱星クンは、
『………1日に何回ナンパされりゃ気が済むんだよ』
と、呆れた様に吐き出した。
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