第47話
そんなあたしに壱星クンは小さく舌打ちして。
『せっかく奢りなんだから贅沢言やいいだろ。欲のねぇ女だな』
『……………』
あたし一応あんたより4つも年上なんですけど。
年上を敬うとゆー事を知らないらしい。
(このクソガキ)
と内心毒を吐くあたしを余所に、壱星クンは溜息を吐き出しながら言う。
『こんなシケた軽食で我慢させるんなら酒も奢れよな』
なんてクソ生意気な事をのたまう。
(あんた未成年だよね?)
そんなあたしの胸の内を知らない壱星クンはメニューを片手に食べたい物を選んでて。
あたしは勇介クンに視線を移して声をかける。
『車て来てるから飲めないよね?』
あたしがそう聞くと、勇介クンはニカッと八重歯を見せながら。
『代行で帰るから大丈夫だよ。家もここからそんなに遠くないし』
それならいっか。
そう1人で納得したあたしに、壱星クンが。
『俺ナマ』
その声を皮切りに、『俺も!』『あたしも~』
と、あたしにメニューを渡しながら言って。
どうやらあたしにオーダーをしろと仰ってるご様子。
渋々腰を上げて内線電話で食べ物と生ビールの注文をするあたし。
ついでにカラオケもフリータイムに変更してもらって。
少し待つと、頼んだ料理と生ビールが次々と運ばれて、勇介クンの『今日の出会いにカンパ~イ!』とゆー掛け声と共にカラオケパーティー開始。
歌いまくりで渇いた喉を生ビールで潤して、あっとゆー間に1杯目を飲み干したあたし達。
追加注文をするあたしの後ろで、お酒が入ってテンションが上がりつつある勇介クンが、
『寿司に比べたら安いもんだ!遠慮しないでどんどん頼んで!』
と気前良く言ってるし。
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