第44話

名前を聞かれたから、こっちも名前ネタで返そうと問い掛けてみる。




『漢数字の壱に星』




短く答える隣人クンの名前を頭の中で書いてみる。




『カッコイイ名前だね』




頭の中で書いた名前を素直に褒めると、隣人クンもとい壱星クンは、




『1番星になれとか、ダセェし』




と、ぶっきらぼうに応えてくれて。




どうやら名前の由来は『一番星になれ』と願いを込められたものらしい。




素敵な親心じゃないか。




でも壱星クンは気に入ってないご様子。




あたしの名前なんか『小春日和の日に生まれたけど、小春じゃ在り来りだから“ひより”にした』とゆー、なんとも単純な由来だ。




でも自分の名前はお気に入り。




そんなあたしを知ってか知らずか、壱星クンは真顔で言う。




『ひより……か。なんか、ひよこみてぇ』




『……………』




(やっぱりコイツ嫌い)




素直な気持ちを呟きながら壱星クンを睨んだ。










3ゲームしたボーリングは、壱星クンの見事なプレイのお陰であたし達が勝って、ランチは勇介クンと由香里にゴチになる事に。




ゲーム中、ストライクばっかりの壱星クンと相反してガーターばっかりなあたしは、不覚にも壱星クンから手取り足取りレクチャーしてもらって。




教えてもらいながら『メシ奢るハメになったらどうしてくれんだ』と脅しをかけられたのは言うまでもなく……。




でもその甲斐あって3ゲーム目は殆どガーターもなく、ちゃんとピンを倒せるまでに上達した。




ピンが倒れるとやっぱり嬉しいもので、スペアをとった時なんか壱星クンと歓喜のハイタッチをしたりして。

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