第36話
だったら逃げないで、最初っから真っ向勝負に出た方が得策だ。
『言ったら許可してくれんのかよ。どうせ頭ごなしに反対するだけだろ』
核心をついた俺の言葉に親父は、
『当たり前だ!お前はまだ未成年の学生なんだぞ!働きもしない子供が親の援助なしに1人でやって行けると思ってるのか!?』
と、いちいち怒鳴る。
『自分でバイトして生活できればいいのか?だったらやってやるよ』
『そうゆー問題じゃ―――』
『今そう言ったのはテメェだろ!援助なんか死んでも頼まねぇよ!』
親父の矛盾した言葉を遮って声を荒げると、目の前を往来している奴らがビビッた顔で振り返る。
そんな奴らを無視して、俺はキッパリと宣戦布告する。
『俺と兄貴を一緒にすんな。俺はアイツみてぇに親父の言いなりになるのは御免だ。俺の生き方は俺が決める。親父がそれを認めるまで俺は帰らねぇからな』
自分の口から出た言葉だが、言い出したら聞かないガキの様な台詞に乾いた笑いが漏れた。
有無を言わさず通話を終了した電話。
それをすぐに操作して、俺は再びスマホを耳にあてる。
短いコール音の後、眠たげな声が電話に出た。
『壱星、どうした?』
仮眠でもとってたんだろう。
若干掠れた声に答える様に、俺は開口一番に言う。
『今、親父から電話きた。俺は家に戻る気はねぇからな。アイツになんか言われても絶対加勢すんなよ?余計な事も一切教えんな』
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