第27話

あたしがいない間に話が進んでいる事に戸惑っていると、イケメン君が人懐っこい笑顔で声をかけてくる。




『ひよりちゃんってゆーの?可愛いね。俺、勇介。良かったら俺らと遊びに行こ?』




ニッコリと笑う口元からは八重歯が顔を出して、それはそれは素敵な笑顔で。




無造作にセットされたダークブラウンの髪型とストリート系のファッションも良く似合ってて。




由香里が見とれるのも無理はないと、改めて思った。




だがしかし。




あたしも由香里も大事な彼氏がいる身上。




(そんな誘いにホイホイついて行くような軽い女ではない!)




…………と思ってるのはあたしだけで。




由香里はスッカリその気になってるし。




『立ち話もなんだから』




と勇介クンに座るように促されて、由香里の隣に腰を下ろすなり、由香里の足を踏んずける。




もちろんワザと。




『いっ…!』




由香里が小さな悲鳴をあげると勇介クンが首を傾げる。




由香里はニッコリと微笑みながら『いっぱい遊ぼうね~』なんて誤魔化してるし。




もう誰も由香里を止められない。




かと言って一緒に行かなきゃ、後で愛の鞭(?)が飛んで来るだろう。




あたしは2人に気付かれないように、小さな溜息を吐き出した。




そんなあたしを余所に、由香里が思い出した様に口を開く。




『そう言えば、友達は?』




勇介クンがさっきまで座ってた席を見遣りながら問い掛けると、勇介クンは軽く答える。




『電話しに外に出てるから、待ってればそのうち来るよ』

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