第18話

ガチャッバタンッガチャガチャ!




と音を響かせて、女は姿を消した。




それを確認した瞬間、俺は梨華を突き放して冷たい一言を言う。




『気が済んだか?なら、とっとと帰れ』




そう吐き捨てて、梨華の顔も見ずに部屋に入った。




次の瞬間。




ガツン!!




とデカイ音が響いて、カンカンとピンヒールが階段を踏み鳴らす音が。




どんどん遠ざかって、ついには消えて行ったヒール音。




梨華が帰った事を確認した俺は、デカイ溜息を吐き出した。




(あの女、部屋のドア蹴りやがったな。最悪だし)




そんな文句を心の中で呟く俺も、ヤるだけヤってポイとか。




(俺も充分最悪だな)




と、自嘲気味な笑みを浮かべながら、隣の部屋の方に視線を移す。




昨日は空き部屋だった303号室。




俺と1日違いで入居した隣人。




その隣人の女に早くも興味が湧いた俺は、新しいオモチャを見つけたガキの様なワクワク感で胸がいっぱいになった。




この時はまだ、その程度の感情だったんだ。

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