第12話

『あんたホントに人の親か?』ってツッコミたくなるくらい罵声を浴びせられて逆ギレした俺は、感情の赴くままに家を飛び出した。




そして一人暮らしをしてる兄貴の所に転がり込んで、有無を言わさずアパートを借りる為の助っ人になってもらった。




無事にアパートを契約した俺は、親がいない昼間に仲間を何人か呼んで荷物を運んで引っ越して。




荷物つっても服一式とテレビ、テーブル、ソファ、ベッドくらいなもんだ。




親には内緒(すぐバレるけど)の一人暮らしだから、当然生活費も家賃光熱費も自分でなんとかしなきゃならねぇわけで。




俺が頭を抱えてると、兄貴が言った。




『大学に通ってる間だけは、家賃光熱費は援助してやる。ただし、社会人になったらちゃんと返せよ?』




と。




でも兄貴はきっと、俺から金は取らないだろう。




優しいだけが取り柄の、つまらねぇ奴だから。




そんな兄貴が、俺は昔から嫌いだった。




だから俺は遠慮なく兄貴に世話してもらう事にした。




世話になるんじゃねぇ。




兄貴が俺の世話をする事を買って出たんだ。




だったらお言葉に甘えるしかねぇだろ。




大学出るまで、しっかり世話してもらおうじゃねぇか。











そんなこんなで無事に引っ越しが終ったのが昨日の事だ。




今日は昼間は部屋でまったり過ごしちまったから、夜は仲間と飲みに出るつもりだったのに。




男の一人暮らしには勿体ないくらいに広くて真っ白で、殺風景な部屋をボーッと見ながらタバコに火を着けた時だった。

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