第8話

朝から引っ越しで動きっぱなしだったあたしは、余程疲れていたのだろう。




ベッドに潜ってから、あっという間に意識を手放した。




睡魔に誘われて意識が遠退く瞬間、何故かさっきの隣人の妖艶な顔が頭に浮かんだ。




でも、なんで?と疑問を唱える余裕もなく、夢の世界へと堕ちて行った。











ピピピピピピ!




けたたましいスマホのアラーム音で目が覚めた。




時刻はam7時。




死んだ様に眠れた様で、目覚めはスッキリ。




でも、目を開けた瞬間に飛び込んで来た景色に、一瞬頭にハテナが飛んで。




あぁ、そっか。




昨日から一人暮らしが始まったんだ。




妙に冷静に納得しながらロフトを降りてキッチンへ向かう。




お風呂上がりと寝起きにミネラルウォーターをコップ一杯飲むのは、あたしのこだわり。




特に意味はないけど。




冷たい水が体に流れ込み、頭がシャキッとしたところで顔を洗いにバスルームへ。




その時、隣の部屋のドアがバタンッと勢い良く閉まる音が聞こえた。




(朝っぱらからうるさいなぁ)




近所迷惑ってものを考えろ。




1人ブツブツと心の中で文句言いながら、バシャバシャと顔を洗う。




リビングに戻るとスマホがLINEの受信を知らせていた。




朝ご飯のパンとコーヒーとヨーグルトをダイニングテーブルに並べながらLINEを確認すると、親友の由香里から。




“おっは~(・o・)ノ今日は約束通り10時にスタバね(^w^)遅刻厳禁~(¬з¬)”

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