第5話
『彼氏』って言葉に胸がキュンとなりながらも、あたしは必死に否定する。
『パ、パパと俊ちゃん間違える訳ないよぉ』
そんなあたしに、俊ちゃんは少しだけ笑って、再び優しい声で言う。
『引っ越し手伝ってやれなくてごめんな』
『全然平気!俊ちゃんは仕事忙しいんだから、気にしないで?』
『その代わり、今度の休みにひよりの就職祝いしような。何処に行きたいか考えといて』
俊ちゃんの言葉に、あたしは胸をキュンキュンさせながら『うん!』と返事をした。
仕事の合間、僅かで貴重な休憩時間にあたしに電話をかけてくれた事が嬉しくて、『またね』と電話を切った後も胸のドキドキやキュンキュンが止まらない。
ついでにだらし無く緩んだ顔も元に戻らない。
俊ちゃんこと早瀬俊一(29歳)は付き合って半年になる彼氏。
優しくてお日様みたいにあったかくて、おまけに超爽やかイケメンな俊ちゃん。
そんな自慢の彼氏は、あたしのパパと性格が良く似てる。
何かと『パパみたい』と言うあたしに、俊ちゃんはいつも困った様な笑顔を見せるけど、そんな所さえもパパに似てて。
俗に言う『ファザコン』なあたしを俊ちゃんは理解してくれて、暖かく包み込んでくれる。
そんな俊ちゃんに、あたしはもうメロメロ。
でも俊ちゃんは市内で1番大きな総合病院の小児科のお医者様。
専門研修プログラム(後期研修)が終わって、専門医として合格をもらって、今年から正式な小児外科医としてバリバリ働いてる。
小児外科医が少ないこのご時世、俊ちゃんみたいな優しくて腕も良くてイケメン(関係ない?)なお医者様は超忙しい。
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