第3話

これからご飯作るにも材料もないし、何より面倒くさい。




(パパ、ごめん)




明日からはなるべく自炊するから、今日は勘弁してね。




そう心の中でパパに謝罪しながら財布と携帯と鍵を持って部屋を出るあたし。




もちろん向かう先は徒歩1分コンビニ。




何気に数えながら歩いて行くと、ホントに1分で着いた。







店内に入ると、仕事帰りのサラリーマンや子供連れのママさん、若いカップルなんかで賑わっていて、お弁当コーナーはかなり寂しげでガックリ。




部屋の冷蔵庫も空っぽだから、とりあえず数日分の飲み物やヨーグルトやアイス、スナック菓子や菓子パンなんかをカゴに入れて、今夜の夕飯にはおにぎりふたつと野菜サラダとサンドイッチで我慢。




(あ、お酒も買わなきゃ)





ビールと酎ハイの缶を適当に選んで、レジに向かう頃にはカゴの持ち手が外れるんじゃないかってくらいにズッシリと重たくて。




当然、詰め込まれたレジ袋も指がちぎれるかと思う程重たくて。




恐るべしコンビニパワー(?)






徒歩1分の距離を、何度も荷物を持ち替えながら歩いて、アパートの階段を上がろうとした時だった。




頭上から何やら女の怒鳴り声が。




女の声の合間に、時たま低い男の声も聞こえてくるあたり、どうやらカップルの痴話喧嘩のようだ。




1階にいるあたしの上から聞こえると言う事は、多分2階か3階の玄関先でのやり取りなんだろう。

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