第12話

「おー、田坂。遅ぇよ。」


「…ちょうどでしょ。」


「10分は過ぎてるわ。」


「あ、秋来られなくなったから。」


「はあー?なんで。」


「スマホ見つかって、反省文中。」







俺がそう言うと、ため息とあいつらしいわと呆れた声をだしていた。


(…地頭良いんじゃなかったのかよ。)




あれから、17時半には起こされて、あとは行くだけって時に、秋の彼女からの連絡が届いて、

そこに、運悪く、担任現れて。



あとは、察しの通り。






「取り敢えず、好きなドリンク取って、フリーだって。あとは、ちょっとしたゲームとか始まるらしい。」


「……へぇ。了解。」


「あ、途中で帰るときは、俺には連絡しといてな。」


「(……読まれてる。)」




軽く頷いて、ウェイターから烏龍茶を受け取り、周りを見回す。


俺みたいに制服のやつなんてそうそういなくて。


男も女も気合いがはいった格好をしていた。






と。


ひとり、不思議な動きをしている女がいた。


前を通りすぎる人に、話しかけようとしては止め、近づこうとしては、退き、その度、何度目かのグラスに口をつけていた。



(……話しかけたいんだろうな。)





なんとなく、見てて、話してみたくなった。

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