第11話

ただ、今は、参加して良かったと思う。


そこで出会えたのが、ここにいるはる音だから。



「出会ってくれて、ありがとな。」





10年近く前の話だ。





________________







「田坂、今日、18時に角のホテルらしいぞ。」


「遅れんなよー。」


「遅刻癖あるからな。田坂。」






時刻は16時半。 


短くも長くも感じない学校が終わった。


口々に、俺への釘さしをする奴らを見送り、頬杖をつく。


(18時とか、なっが…)




「相変わらず、男にもモテますね。田坂くんは。」



そんな俺を余所に、俺の前の席に座ってきたやつ。





「秋、」




常盤 秋(ときわ あき)。



このクラスで一番話すだろう仲。

地頭が良く、一目おかれている存在のようだ。


俺からしたら、意味不明だけど。





「お前、行くの。」


「面白そうだから、行く。」


「……へぇ、」


「………あ。俺をだしに逃げるつもりだったろ。」


「………。」





残念でしたーと笑いながら、スマホを弄っている。




「(…だる、)」




角を曲がってすぐのところだから、家に帰るのも、面倒だ。





「(…眠)」


「お、幸人寝るなら、起こしてやるぞ。」


「…じゃあ、頼む。」


「おう、任せとけ~。」




大体、交流会って何だよ。


意味わかんね。



(取り敢えず、顔だけ見せて、すぐ帰ればいいか。)

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