「いつごろからこのお店にきてるの?」とくるくるとストローでアイスコーヒーをかき混ぜながら、私はあなたに聞いてみた。(私は高校生になった春の始めのころから、秋の今頃までずっと恋する火星の家出にきているぞ、と心の中で思っていた)

「えっと、先週くらいからかな?」とそのときのことを思い出しながら君は言った。

 その通り。正確に言えば、先週の月曜日からだぞ、と私は思った。

「確かね。スパゲッティーを食べたんだ。あの美味しいやつ。本当は食事はするつもりはなかったんだけどね、写真のスパゲッティーがすっごく美味しそうだったから注文しちゃったんだ。アスパラとエビの入っているちょっと辛めのスパゲッティー。うん。そうだった。私ね、スープスパゲッティーて初めて食べたんだよね。美味しいよね。びっくりしちゃった。スパゲッティーをね、かためでお願いしたんだ。だから、こんどは柔らかめにしてみようかなって思ってる」とふふっと笑いながら君は言った。

 それは美味しいだろう。私はまだ食べたことはないけど。と思いながら私は「そんなんだ。へー」と言った。(スパゲッティーのかたさって選べるんだ)

「今だと、えっと、あった。これこれ。このきのこたっぷりのあったか具沢山クリームスパゲッティー甘め(大盛り)が美味しそうだよね。私きのこ好きなんだ。あとやっぱり秋だしね。秋の食べもの食べたくなるよね」とメニューの写真を私に見せながら君は言った。(確かにすごく美味しそうだった)

「うん。確かに美味しそう」とごくんと(君にばれないように)つばを飲み込んで私は言った。(私の目はメニューの写真にくぎ付けだった。まるできのこのいい匂いが写真からでも、香ってくるみたいだった)

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