27 新たな日の光
戦勝の祝杯を交わした翌日、翔は静かな寝室で目を覚ました。 日の光が薄いカーテン越しに差し込み、穏やかな朝の空気が部屋に広がっている。昨夜の熱気とは対照的な静けさが、王宮の一室を包んでいた。横にはフリーデリケが静かに眠っている。
翔はそっとベッドから体を起こし、フリーデリケの寝顔を一瞥する。彼女の長い髪が枕に広がり、安心した表情で微かに息をする姿が、戦場での鋭いリーダーシップとは対照的だった。昨晩、二人は祝杯を交わし、アルバナ王国の未来について語り合い、その後、自然な流れで同じベッドを共にすることとなった。
翔は窓の外を見つめ、胸の中で複雑な感情が渦巻いていた。
「これからが本当の戦いだ……」
戦争に勝ったものの、これからの課題は山積みだ。経済の立て直し、戦争によって荒れた土地の復興、そして改革の実行。勝利の喜びに浸る暇はない。
その時、背後で微かに寝返りを打つ音がした。フリーデリケが目を覚ましたのだ。
「おはよう、翔。まだ外は静かですね。」彼女はまだ眠そうな声で言った。
「おはよう、フリーデ。」翔は振り返り、少し微笑んだ。「昨日のことがまだ夢のようだ。」
「そうですね。勝利の余韻が王都中に広がっているでしょうね。」
フリーデリケは肩を伸ばしながら、少し目を細めた。
「でも、これからが本当に忙しくなりそうです。」
「間違いないな。」翔は軽く頷きながら言った。
「勝った後の対応が、もっと重要だ。」
「その通りです。復興や改革、課題は山積みですから。」
フリーデリケは真剣な表情に戻り、翔に向き直った。
「まずは、今日の会議で具体的な計画を進めましょう。」
「わかった。まずは、できることから始めよう。」
フリーデリケは翔をじっと見つめ、少し口元に笑みを浮かべた。
◇
アルバナ王国の勝利に続いて、戦後復興と国内改革が急務となった中、王宮の一室で翔とフリーデリケが向き合っていた。広げられた書類の山の中には、復興計画や改革案が並んでいた。
翔は真剣な表情で話し始めた。
「まず、財政再建が必要だな。累進課税を導入して、富裕層や貴族たちから適切に税を徴収する。これで税収を増やし、公共事業や復興資金を確保するつもりだ。」
「それは重要ですね。ただ、彼らの反発も予想されます。特に、戦争で利益を得た企業や貴族は影響を受けますから、慎重に進める必要があります。」
「だからこそ、低所得者層には税の優遇措置を設ける。戦争で被害を受けた民衆の生活を守りつつ、貴族や企業には応分の負担をしてもらう。それが公平だ。」
「同意します。債務削減についても、戦時中に膨れ上がった国の借金を整理しなければなりませんね。国際的な債務交渉は難しいでしょうが、避けては通れない。」
フリーデリケの声には冷静さが漂っている。
翔は書類を整理しながら頷く。
「借金の返済計画を練り直して、経済の安定を確保しつつ、改革を進める。これは短期的にも長期的にも必要な措置だ。」
「ところで、密輸が発覚した貴族についてはどうされますか?食料の密輸で戦争相手を支援していた者たちが判明しています。」
翔は厳しい口調で答える。
「彼らには厳しい処罰を下す。家を取り潰し、財産を没収することになる。それを国庫に入れて、財政難の一部を解消する。この措置で復興資金も確保できるだろう。」
「そうなれば、財政難の改善に大きな前進となりますね。彼らが私利私欲で国を裏切った代償は大きい。」
翔は鋭い目つきで続けた。
「さらに、戦争で得た利益には追加の課税を課すべきだ。特に、戦争中に巨額の利益を上げた企業や貴族たちには、負担をしっかりと負わせる必要がある。」
「戦争で利益を得た者たちへの課税ですか。それは確かに公平ですが、彼らの反発も覚悟する必要があります。影響力のある者たちが敵に回れば、政権運営に支障が出るかもしれません。」
翔は少し間を置き、声のトーンをわずかに落として厳しい表情を見せた。
「ただ、彼らにとってこれは好意的な警告とも言える。戦争で得た利益があまりにも膨大で、私腹を肥やし過ぎた者たちにとって、この課税は避けられない。そして、従わなければさらなる厳しい罰が待っていることも伝える必要がある。」
フリーデリケはその言葉に目を細め、真剣に考え込む。
「つまり、課税に従えば、それ以上の罰を免除されると示すのですね。そうすることで、彼らも自らの利益を守るために従わざるを得なくなるでしょう。」
「そうだ。これは取引でもある。従順であれば、それなりの形で許されるが、反抗すれば、全てを失うことになる。彼らも自分の利益を守るためには、反発するより賢明な道を選ぶだろう。」
「なるほど、それならば彼らも選択肢を持たざるを得ませんね」と呟いた。
「国を売る行為や不正に私腹を肥やした者たちが、今後も同じ過ちを繰り返さないように、しっかりとした制裁を見せる必要がある。」
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