第2章: 戦争の影と財政の希望

07 荒廃した街と軍の現状


翔は王宮の豪華な廊下を歩きながら、アルバナ王国の財政改革に向けた計画に集中していた。彼の心は、戦争の影響をどうにかして軽減し、改革を成功させる方法に向かっていた。


王宮の外に出ると、王都の景色に目を奪われた。市街地のいくつかの区域は戦争の影響で荒廃しており、人々の生活が困難である様子が見受けられた。商店が閉鎖され、空き地が目立つ。戦争がもたらした困難が、街の活気を奪っていた。


王宮の食堂に到着すると、フリーデリケが温かく迎え入れた。「翔さん、お疲れ様です。王都の様子はいかがでしたか?」


翔は一息つきながら答えた。

「王都にはいくつか気になる点がありました。特に、市街地の一部がかなり荒廃しているようです。戦争の影響でしょうか?」


「はい、戦争の影響で多くの区域が困難な状況にあります。実際に軍を派遣しているものの、戦争の長期化と経済的な負担が深刻です。」


翔は続けて尋ねた。「現在の戦争の状況について、もう少し詳しく教えていただけますか?」


フリーデリケは顔を曇らせながら言った。

「はい。アルバナが隣国ゼルトンと緩衝国オステリアで戦っている影響です。ゼルトンとの直接的な戦闘を避けるため、戦争はオステリアを舞台にしていますが、その国自体が内戦状態にあります。」


翔は興味を抱きつつ続きを促した。「内戦ということは、オステリアの内部で反政府軍と政府軍が戦っているのですか?」


「そうです」とフリーデリケは地図を広げながら説明を始めた。「オステリアは元々、独裁的な王政が長く続いていましたが、数年前から反政府勢力が力をつけ、政府軍と激しい内戦を繰り広げています。アルバナは、オステリアの安定を求めて政府軍を支持していますが、ゼルトンは反政府軍に武器や資金を提供して混乱を助長しています。」


「なるほど」と翔は頷き、さらに問いかけた。

「アルバナが政府軍を支持する理由は何でしょうか?」


フリーデリケは説明を続けた。「オステリアの現政府はアルバナと長く友好関係を保っており、特に貿易と外交面での協力が重要でした。政府が崩壊すれば、オステリアを介して行われている貿易ルートが遮断され、ゼルトンが影響力を拡大することになります。アルバナはゼルトンとの戦争を避けつつ、オステリアの政府を安定させることで、自国の経済的利益と安全保障を確保しようとしているのです。」


翔はその説明を聞きながら、ふと軍の編成についても興味が湧き、もう一歩踏み込んで質問した。「軍の編成についても教えてください。どのような部隊がどの戦線で活躍しているのですか?」


フリーデリケは地図を広げながら、詳細な説明を続けた。「我々の軍は、次のように編成されています。まず、歩兵隊が大部分を占める基本部隊です。彼らは新式のライフルや爆発性の投射武器を装備しており、塹壕戦や長期戦に対応することができます。砲兵隊は新型の大砲を使い、敵陣地を遠距離から砲撃しています。騎兵隊はその機動力を活かし、偵察や追撃に投入されていますが、最近では機械化部隊が増えてきているため、出番が減りつつありますね。」


翔はうなずきながら、「興味深いですね。魔道軍についても教えてください」と促した。


フリーデリケは微かに笑みを浮かべながら答えた。「魔術を活用した特殊部隊です。彼らは特殊な魔術を使い、敵軍を撹乱しつつ、砲撃をサポートしています。敵の動きを封じる魔法や、広範囲にわたる幻惑魔法が戦場での鍵を握っています。」


翔は驚きつつも納得の表情を浮かべた。「魔法が戦争の一部だとは、やはりこの世界は僕がいた場所とは大きく異なりますね。」


フリーデリケは頷き、さらに続けた。「航空部隊も重要です。彼らは飛行船や軽量の飛行機を使って空中偵察を行い、時には爆撃任務にもついています。そして、工兵隊は塹壕や防壁を築き、補給路を整備する後方支援を担当しています。戦場を支える影の立役者ですね。」


翔はフリーデリケの話を真剣に聞き、軍の構成が今後の財政改革に与える影響を考え始めた。「なるほど、これだけの規模の戦争を維持するのは、相当な費用がかかるでしょう。今後、財政改革を進めるにあたって、軍事予算も見直す必要がありそうです。」


フリーデリケは頷きつつも、微かに疲れた笑みを浮かべた。「その通りです。戦争が終わらなければ、どれだけ改革を進めても財政的な負担は軽減されません。ですが、あなたの力があれば、少しずつでも改善していけると信じています。」


翔は彼女の言葉に頷き、「まずは現状をしっかりと把握して、具体的な手を打っていきましょう。戦争と財政を両立させるのは難しいかもしれませんが、できる限りのことをしてみせます」と冷静に答えた。


フリーデリケは翔の決意を感じ取り、真剣な表情でうなずいた。「そうですね、まずはできることから始めましょう。」


翔が財政改革の話から軍の現状に話を戻すと、フリーデリケは地図を指しながら説明を始めた。


「前線で戦っている部隊の中でも特に重要な役割を担っているのが、第2大隊と第4大隊です。彼らは現在、オステリアの北部で政府軍と協力し、反政府軍の包囲を突破しようとしています。」


「その指揮をとっているのは?」と翔が尋ねた。


「男爵エドアルド・ヴァイゼルです。彼は我が国でも屈指の戦略家であり、長年にわたり王国軍を率いてきました。彼の冷静かつ大胆な指揮は、前線の兵士たちにとって大きな心の支えになっています。第2大隊と第4大隊は彼の指揮のもと、持ち前の結束力で政府軍と共に戦っています。」


「第2大隊と第4大隊はどんな編成なんですか?」と翔がさらに興味を示した。


「第2大隊は、主に精鋭歩兵部隊で構成されています。彼らは塹壕戦で敵の陣地を突破し、前線を支える役割を果たしています。第4大隊は、砲兵隊と魔道軍の混成部隊です。砲撃支援と魔術による戦場の撹乱を担当し、戦闘を有利に進めるための重要な役割を担っています。」


「エドアルド男爵か…。彼の指揮のもとで戦うのは心強いだろうけど、それでも前線で戦うのは厳しい状況なんだろうな。」


「ええ、彼の采配で戦局は多少有利になっているものの、反政府軍との戦闘は熾烈を極めています。特に第2大隊は塹壕戦の最前線に立たされていて、長期的な戦闘が続いています。」


翔はその説明を聞き、戦争のリアルさが一層胸に迫った。


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