03 休息のひととき
翔とフリーデリケは、書庫での作業を終えると一旦休息を取ることにした。長時間にわたる資料調査で、二人とも疲れが溜まっていた。フリーデリケが用意した軽い食事が、王宮の小さな食堂に並べられ、温かいスープとパン、野菜や肉を使った料理がテーブルに並んでいる。
「これで少し休みましょう、翔さん。」フリーデリケは優しく微笑んで言った。
翔も疲れた表情を浮かべながら席に座り、香りのいいスープを一口飲んだ。「ありがとうございます。こういう時、少し食べて落ち着くのが一番ですね。」
フリーデリケもスープを飲みながら、ふと微笑んだ。「そういえば、翔さん、私の名前ってちょっと長くて堅苦しいと思いませんか?」
「そんなことないですよ、フリーデリケさん。すごく立派な名前だと思います。」と翔は少し驚きつつ答えた。
フリーデリケは首を軽く振りながら、少し照れくさそうに続けた。「ありがとう。でも、もっと親しみやすくしてほしいんです。みんなからは『フリーデ』って呼ばれているんですけど、翔さんもそう呼んでくれませんか?」
「フリーデ…? じゃあ、そう呼ばせてもらいますね、フリーデ。」と翔は少し戸惑いながらも笑顔で応じた。
「ありがとう、翔さん。その方が親しみやすくて、私も気が楽です。」とフリーデはほっとしたように笑った。
しばらく食事を楽しんだ後、翔はふと彼女に尋ねた。「フリーデって、すごく若くして宰相になったんだよね? 今は何歳?」
フリーデは一瞬考えてから答えた。「私は26歳です。若いってよく言われますけど、父が亡くなった時に自然とこの役職に就くことになりました。」
「26歳か…若いのにすごいなぁ。僕はまだ22歳で、全然そんな大役を担うなんて想像もできないよ。」と翔は感心したように言った。
「22歳なんですね、翔さん。あなたも十分に若いですけど、もう立派に役割を果たしているじゃないですか。」フリーデは優しく答えた。
「でも、フリーデはもっと大きな責任を抱えてるんだ。父親の後を継ぐなんて、相当なプレッシャーだったんじゃない?」と翔は真剣な表情で尋ねた。
フリーデリケは少し目を伏せながら話し始めた。「ええ、確かにプレッシャーはありました。でも、父の志を受け継ぐことが私の使命だと思っていました。この国が戦争や財政難で苦しむ姿を見て、何かしなければならないと感じたんです。」
「だからこそ、今の宰相としての役割を果たしているんだね。」翔は彼女に尊敬の念を込めて言った。
フリーデリケは頷き、「ええ。でも、翔さんがいてくれて心強いです。これからも力を貸してくださいね。」
「もちろん、僕も一緒に頑張りますよ、フリーデ。」翔は微笑みながら応じ、二人はこれからの困難に共に立ち向かう決を新たにした。
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