第33話
「そう言えば、最近思いだしたんですけど、佐々木さんのデスクって私の入社前までは本当に綺麗だったんですか?」
「え、本当だけど。なに、急に。見ろよ。誰かさんの手がかからなくなってからは、また綺麗になってんだろ。」
何故か、少し誇らしげに私を見据える佐々木さん。
「いや、佐々木さんには聞いてないのですよ。」
ふんっと首をひねって華城さんを見る。
「……おい、俺が信用ならねーってのか。」
そう言いながら、持っていた箸を置いて私の髪をわしゃわしゃと撫でる。
「ちょ!やめてくださいよ!ご飯食べてるんですから。」
「ちょっと、私の目の前でイチャつかないでくれる?それこそ飯がまずくなるわ。まぁ、宮坂は信じられないでしょうけど、本当よ。今よりも、綺麗だったかしら。」
と、美しい作法で卵焼きを口に運んでいる。
この人は、コンビニ弁当でも絵になるな。
「そうなんですか。仲間だと思ってたのに。じゃあ、何であんなにあの時汚かったんですかね。」
ちょっとショックですーと呟きながら、自分の作った唐揚げにかぶりつく。
「…………え、俺、お前のあのデスクと同じくらい汚かったの。」
心の底から驚いている佐々木さんは、ここから見える私の席を指さす。
そこには、山積みの資料で溢れている。
「ええ。」
「はい!」
「・・・ま、まじか。」
心外だと言わんばかりに大げさに落ち込む佐々木さん。
(………ん?)
これは、私貶されてるんだよね。怒っても良いのかな。
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