第32話
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「で、何で私だけコンビニ弁当なのよ。」
目の前には、コンビニ弁当を乱暴に開ける華城さんが。
「仕方ねーだろ、食堂人がいっぱいだったんだから。」
そして、
隣には、同じく不機嫌そうに眉を寄せる佐々木さんが。
(…どうしよう。)
「すみません、華城さん。私のお弁当要りますか?」
二人とも優しいのだけれど、揃うと必ず言いあいをするのだ。
「要らないわよ。何が好きで佐々木と何から何まで同じ弁当食べなきゃいけないのよ。」
(…たしかに。何から何まで同じ内容の、お弁当だ。)
「俺だって嫌だよ。華城と同じ弁当食うなんて。」
(…う、)
「すみません。今日は、朝に余裕がなくて………。」
「へー。余裕がなかったのね。何で余裕がなかったのかしらね?」
そう言って華城さんが視線を向けたのは、居心地の悪そうな顔をしている佐々木さん、だ。
「言っとくけど、華城が考えてるようなことはしてねーからな。」
「あら。私は、宮坂に聞いてたつもりだったのだけれど。」
何で、佐々木が答えるのかしらねー?と心底楽しそうな声をだす華城さん。
も、もうそのあたりで…
と珍しく私が慌てて止めにはいる。
「ま、まぁまぁ。落ち着いてください二人とも。」
「………そうだよ。華城、せっかくの秋乃の飯がまずくなる。」
心底嫌そうな顔と声で華城さんを宥める。
(…や、宥め、てるのか?)
「……そうね。久しぶりに佐々木のそんな顔見られたから満足よ。みんな、あんたのことを完璧だと思ってるから、いい気味だわ。」
ふふとまるで女王様のような黒い笑みを浮かべる華城様。
(わ、仕返しだ…)
(お、恐ろしい。)
「さ、さすがですね。華城様。」
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