第27話

「宮坂、明日休みだろ?もう、このまま寝とけ。」




「え。」





(というか、今何時。)


キョロキョロと、周りを見まわし時計を探す。


 


そして、


やっとのことで見つけた時計が指していたのは、2の数字。


とっくに、終電は過ぎていた。




「…ふっ。なに、百面相してんの。いーよ、明日送るから。つーか、さっきついでに色々買ってきてるから。」




と言って先程のコンビニの袋を指さす。


(あ、)


(煙草なんて…嘘)


(何の、‟ついで”ですか。)




「・・・・。」




何も言わない私に、



「心配しなくても、何もしねーって。」



佐々木さんは呆れたように笑った。


 


「あ、や、そうじゃなくて。何から何まで迷惑ばかりかけてしまって、本当にすみません。時間も遅くなってしまったので、お言葉に甘えさせていただきます。」




(この時間からタクシー呼ぶ方が迷惑になる、よな…)



 

「・・気にすんな。ただ、心配なだけ。




なんか、今のお前、ひとりにしておけない。」




珍しく真剣な眼差しで見つめられた。


(なんで。そんな…)



「だから・・・‟俺がそばにいるから”。」


(やさしい、の…)



そんな目で見つめられ、そんな言葉囁かれたら…




「……ぎゅって」



「…ん?」


「…ぎゅって、してくれませんか。」




弱い私は縋るしかなかった、佐々木さんに。

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