第21話

_____びっくりした




その一言に尽きる。





「…佐々木さんって、料理もできるんですね。」



きちんと盛り付けられたパスタを見て。





「・・・お前、さっきから俺をなんだと思ってたんだよ。まあ、たしかに普段はやらねーけど。」




「すごいです。わー、なんかもう感動…。じゃあ、遠慮なく、いただきまーす。」



パチンと音が鳴るほど手を合わせる。


そんな、私に




「・・宮坂って、相も変わらず自由だよな。」



肘をついて呆れている様子の佐々木さん。




「・・それって 褒めてます?」



「どーだろーな?」


と口端をあげて笑っている。




佐々木さんは、


(本当に、やさしい…)


(そう、思う。)



 

恐らく腫れていて、赤くなっているだろう目には未だ触れてこようとしない。



何も聴かず、私といつも通りの会話をしてくれる。




思い出したくない、でも忘れたくもない…




そんな感情をすべて理解してくれている、そう錯覚してしまいそうになる。

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