第20話

頭は、ボーッとしてても、身体はきちんと働いているようで。




気が付いたら、佐々木さんの準備してくれていた服に着替えていた。



(…大きい、な。)


(というか、長い…むかつく。)



手も足も、相当捲らないと、見えてこない。



 


あの、温かい空間に早く戻りたい、と思うけど



あんなことがあったのに、佐々木さんといつも通りの会話をすればするほど、





彼を忘れてしまうのではないか・・・


なんだか、彼への想いがちっぽけなものだと自分で証明するようで、




自分がひどく罪深い人間のように思えてくる。




 


そんなことばかり考えて戻れずにいると、ここに来てゆうに1時間は経っていた。


 




…と、

 


ドアの向こうに人の気配を感じた。




「おーーい、宮坂。生きてるかー?」






「あっ…はい。生きてます。」



はっと我に返り返事をする。




「おー。じゃあ、準備できたら来いよ。夕飯作ってるから。」



(心配、かけてるな…)





ドアの向こう。


安堵の息を吐く音が聞こえた。

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