第19話

「え。何でですか。私、佐々木さんのこと尊敬してるのに。」


(…心外、だ。)




…と、話してると


聞きなれない音が鳴り響いた。




「・・・うん。もう、わかったから。風呂はいってこい。」



「・・お前がはいったら、着替え持っていっとくから。」



俺の服で、我慢な なんて言いながら、バスタオルを手渡してくれる。




「・・・あ、ありがとうございます。」



 

 

「いつも通りに戻った、な。」




「え、なにか言いましたー?」


(…聞こえて、ませんよ。)




「いや、なにも。」



きっと、それすら、


分かっているようで。



佐々木さんが、もう一度言ってくることはなかった。





―――――――――――――――――――—-----





なんか、佐々木さんと話していると、


今日あったことが嘘みたいに思えてくる。




さっきまで、何もする気が起きなかったのに。



(…不思議な人だ、佐々木さんは。)




 

だけど、



さっきまであった温かい空間とは違い、


ポタ、ポタ・・と水滴が落ちる音しかない空間にいると・・


 

  


”本当に、ごめん・・・。”


 




でも、この胸の傷みが現実だと教えてくれる。



 

ひとりでいると、自然に涙が溢れてくる。



誤魔化すために、顔を洗ってみても、止まることはない。




 

「どーやったら、止まってくれるんだろ…。」



(そもそも…)


(私は、止まって、ほしいのか…)

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