第18話

促されたリビングに一歩足を踏み入れる。





…と、

 



「…なんか。」



「・・どした?宮坂。」




「意外、ですね。 佐々木さん家、綺麗…。会社のデスクと違う。」




通されたリビングを見て思った素直な感想。



同時に。


会社の佐々木さんのデスクが思い出される。


(…山積みの資料で埋め尽くされてるしな。)





「…お前は」




すごく呆れた表情をされ、腕がのびてくる。


 

叩かれる、そう思って反射的に目を瞑ると





わしゃわしゃと、タオルで頭を拭かれる。




「・・わっ、ありがとうございます。…あ、怒ってます?

これでも褒めてるんですよー。」



 


佐々木さんは大体不機嫌になると、私の頭を乱暴に撫でる。




たぶん、癖だ。


 



「…別に。お前に褒められても嬉しくねえよ。ていうかな、お前が入社する前は、俺のデスク綺麗だったんだよ。」




「えっ!!それは、初耳ですね。」





「おー、だろうな。だーれかさんのせいで片づける時間がないんですよ、俺。」




「・・・時間がないほどですか。それは、その人すごいですね。」


(すごいな、その人…)




「・・・なんか、もう、俺ヤだお前。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る