第5話
あれから会話が弾み終了時間までお互いの話で盛り上がった。
「え、生まれも育ちも東京なんですね!てことは都会っ子だ!」
「東京でも下町の方だよ」
「でもすごいですよ!私なんて静岡のド田舎出身ですよ!」
出身地の話で盛り上がる中、一つのベルが鳴った。
「あ、そろそろ終了時間みたいです...」
「もうそんな時間か!あっという間だったね」
「会話が楽しくてあっという間でした!名刺って受け取っていただけますか?」
「全然頂くよ」
「ありがとうございます!また来てくださいね!」
彼女からの名刺をもらい、そこには彼女の連絡先が記載してあった。
「お店での連絡先になります!予約とかの際に気軽にご連絡ください!」
(あ、そうだよね...お店用のやつだ)
景司は少し残念な気持ちになったがすぐに立ち直った。
「ありがとう!そしたら次来るときはこれに連絡するよ」
「わー!ありがとうございます!お待ちしております!」
そうして彼女と部屋お出て、対面した場所でお別れをした。
「また御待ちしております!」
彼女はそう言い放つと景司にキスをして別れた。
お店を出た後に先輩と合流した。
「お前さん初のお風呂屋さんはどうだった?!」
「先輩、俺ちょっとハマっちゃいそうです」
「おーー!お前も一歩大人になったな~、でもほどほどにな」
「はい!」
そうして景司は先輩と別れ、家に向かった。
帰りの途中で景司の携帯が鳴った。
(ん?誰からだろう)
差出人は先ほど相手をしてくれたあやねだった。
『今日は来てくれてありがとう!すっごく楽しかった!時間あっという間にたっちゃったからもっと大和さんの事知りたいな!次も待ってますね♡』
あやねのメッセージを読んだ景司は心の底から喜んだ。
大学時代以降女性と関わることを避けてきた彼の中で止まっていた針が動き出したかのようだ。
それから景司は、彼女にまた会いに行けるように仕事に精一杯取り組んだ。
「よし。このままいけば今週会いにいけるぞ。」
景司は作業をしながら小さくつぶやいた。
「ほうほう。あんさんまた行こうとしてるね~」
「うわぁ!?せ、先輩、、、」
景司の真後ろで先輩が立っていた。
「もしかして、、、聞こえてました?」
「ばっちり聞こえてたよ!」
「ですよね、、、自分この前の彼女にハマっちゃったみたいです」
先輩に隠すことが出来ないと悟り、素直に話すことにした。
「別に隠すほどのことではないさ~悪い事ではないし、独り身の俺らはあのような場所が必要さ」
先輩は彼の気持ちを理解して、笑って話してくれた。
「ま、お金もかかるし、ほどほどにしつつ楽しんでこい!」
「ありがとうございます」
唯一理解してくれる先輩がそばにいて景司は、心の底から嬉しかった。
そして週末になり、彼は仕事を早く終わらせてお店に向かった。
お店に入りボーイから声をかけられた。
「ご予約でしょうか。ご予約でしたらお名前をお願い致します。」
「予約した大和です。」
「あやねちゃんご指名の大和様ですね。こちらにお願い致します。」
ボーイに待機室に案内され、前回と同じ手順でお金を払い案内まで待機した。
10分ほどで案内された。
「大和様ご案内です。あちらで女の子がお待ちです。」
角を曲がりそこには、あやねが立っていた。
「また来てくれたの嬉しい!ありがとう!」
景司は、再び会えたことに喜びが隠せなかった。
つづく
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