第17話

 ごめん、と優は項垂れるように俯きながら謝った。私の言葉を途中で遮ったことを申し訳なく感じているだけではなく、自分が断言した内容に傷ついているようにも、嘘であって欲しかった、と心の中で嘆いているようにも見えた。

「大丈夫だよ」

 私が努めて優しい声を出すと、優は力の抜けたようなふにゃりとした笑みを浮かべて階段の上に座り込んで胡座をかいた。

「……二週間前にお母さんから初めて打ち明けられた事実。俺は離婚した元旦那さんの顔に似てるんだとよ」

 重いため息を吐く優にためらいながら訊く。

「あの、旦那さんって……優のお父さんのこと?」

「ああ……。そっくりすぎて、顔を見る度に思い出す。俺のことをどうしても憎いと感じてしまうって……。さっき言ってなかったけど、お母さんは首を絞めたことを謝った時、ひどく後悔してるように見えた。母親には母親の事情がある。お父さんと離婚してからなんだ、冷たくなったのは……。それまでは優しかった。だからお父さんがお母さんに何か酷いことをしたのは間違いない。トラウマを掘り起こしかねないから訊かない。……けど、俺はどうしたらいいんだよ。整形した方がいいのか?」

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