第12話
私を置いて消えないで。
私は、乾いた喉から声を絞り出しながら優の背中に真後ろから抱きついて泣き始めた。我ながら大胆な行動をしたと思う。だけど、その時はそのことに気づかないぐらい必死だった。
優は大丈夫だと断言したけど力強い声じゃなくて少しどもっていた。私は不安に押しつぶされそうになって声を上げて泣いた。一向に泣き止まない私に焦り出したのか、呆れたのか、心配してくれたのか。
離れろ、と背中にくっつている私を引き剥がして、そのことに私がショックを受ける前に振り返って抱きしめてくれた。お前を置いて消えるわけないだろ。優がそう言ったのは、鼻を啜り上げる音がした後で、それから私が泣き止むまでずっと、ハグしたまま背中を優しく叩いてくれた。
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