第3話
『優くんはしっかり者だから灯莉のことを安心して任せられる。いつもありがとね』
私の母親はいつも嬉しそうに笑いながら優に感謝の気持ちを伝えていた。それだけなら全く問題ないんだけど、優が帰った後に、あの母親ときたら、灯莉のことの前に、『一人じゃ何もできない精神年齢が四歳のまま止まってる』と余計な言葉を付け加えて、ひとしきり嘲笑った後に『何で生きてるの?』と冷たい瞳で見下ろしてくるのだ。
私はその度に、深い悲しみと苦しみに襲われて死にたくてたまらなくなる。泣き顔を見られたくないから唇を噛んで必死に堪えている。
あの人は優の前では常に優しい母親ぶっているから本当にたちが悪い。怖くて秘密にしていたけど私が小学一年生の夏休みに、母親がおやつを準備してる時を狙って、勇気を振り絞って裏の顔を暴露した。私が暴露するまで、優は全く気づいてなかったから涙が出るほど悔しかった。
ただし、母親の優に対するしっかり者という認識は間違っていない。実際、優は近所の人たちが顔が似ていないのに優のことを私の二歳年上の兄だと勘違いするぐらい、凄くしっかりしていて、家でも外でも名前に相応しく優等生だ。でも、私だって学校ではしっかり者だし友達から優等生って呼ばれてる。
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