第3話 小さくてもいいよね

 おはようございます。魔法の時間です。


 ついに、魔力操作のスキルをゲットしました。

 そうです、いよいよ魔法の練習をしていきます。長かったような、ほとんど寝てたような気もしますが、とにかく魔法です。


 もう、待ちきれません。予定通り風から挑戦。風魔法、もしくは生活魔法の微風のようなものを発動してみようと思います。この世界にあるか知りませんが、あると信じて挑戦あるのみ!


 魔力感知で呼吸で取り込んで全身に散らばる魔力を感じる。そして、魔力操作で魔力を指の先に移動させる。最初は少しだけにしておこう。魔力が指先に集まったら、魔法をイメージして発動だ! 微風発動!


 まあ、何も起こらないよね。一回目だし、そんな簡単じゃないよね。魔力感知も魔力操作も時間かかったし、それ以上の時間がかかっても仕方ないよね。繰り返し頑張ってみよう。




 十日じゃ無理でした。


 あれから、いろいろやり方を変えてみたり、使う魔力を増やしたりしても、何の反応もなくて悲しくなってきたので、気分転換もかねて新しいことをやる。風の才能がないだけかもしれないので、他の属性も一通りやってみよう。


 火は怖いので後回し。


 水から挑戦。水生成発動! 水玉発動! 飲み水発動!

 ダメだね。


 次は土。土生成発動! 土玉発動! 土塊つちくれ発動!

 無理でした。


 光に挑戦。照明発動! 光玉発動! 明かり発動!

 光りませんでした。

 

 次は闇。暗闇発動! 闇玉発動! 目隠し発動!

 無理か。


 う~ん。火は怖いからなぁ。水が成功した後に練習したかったんだよな。

 そうだ、ほんのちょっとだけにしよう。ライターくらいだと危ないから、一ミリくらいの火というか火花くらいのちっさい火にしよう。

 火花発動!


 うん? 火は出なかった。出なかったけど魔力が動いた気がする。初めて反応したよ。今まで何の手ごたえもなかったけど、ようやく手がかりができたよぉ~。なんか泣きそう。


 そういえば、ときどき忘れるけど自分は赤ちゃんでした。赤ちゃんが大人と同じ魔法を使えないのは当たり前だと思います。まずは赤ちゃんサイズの魔法で練習するべきなんです。


 そういえば、全部ダメだったら三種の神器魔法を試す予定だったな。一応やっておこうかな。


 まずは鑑定魔法から。鑑定魔法の赤ちゃんサイズって何だろう? 名前だけとかかなぁ? まぁ、やってみよう。寝てる状態だから天井をターゲットに名前鑑定発動!


 無理でした。魔力も無反応だね。


 次は空間魔法だね。小さいサイズの収納ってどのくらいだろう? 一番小さいのは、外からの光で見えてるホコリかなぁ? ホコリサイズの収納って意味あるんだろうか? 練習のためだし、実用的じゃなくても関係ないか。ホコリ収納発動!


 あれ? 消えた? ホコリ一粒消えた? えっ! 収納した? 魔力減ったっぽいし。イメージがよかったのかな? 地球とこっちの世界の間の何もない空間に、自分用の箱をつくるイメージだったんだけど。


 とにかく、魔法発動しました。成功です。どんなに小さくても成功です。


 あっ! 取り出すのどうやるんだろう? 箱の中に何が入ってるか確認できないと困るよね。

 箱を意識したら脳内に箱の中の状況が浮かんできた。ホコリが入ってるのがわかったから、これを取り出すイメージでいいのかな? できた! もう一度収納してみよう。できた!


 どうやら収納するときだけ魔力を消費するみたいだ。


 う~ん、これだといろいろ収納したら脳内がごちゃごちゃして取り出すの大変じゃない? 名前と数を表示できるようにしたいなぁ。

 まずは名前鑑定で名前を調べることができないと無理だよね。表示されるリストの名前が全部未鑑定品って表示されてたら区別できなくて意味ないしね。

 そういえば、さっきは天井をターゲットにしたけど、小さいホコリのほうなら鑑定できるのかな? 名前鑑定発動!


【名称】アバナ草の繊維片せんいへん


 うわっ! なんか出た。へぇ、アバナ草の繊維なんだこのホコリ。布の材料かな? もしかしたら今寝てるところがわらじゃなくてアバナ草が敷かれてるのかな? わらのベッドじゃなくてアバナ草のベッドだった? もしくは全然関係なくて、風に乗って外から入ってきただけかもしれない。

 う~ん、分からないことは一旦置いておこう。今は第二の魔法が成功したことを喜ぼう。ひゃっほ~!


 やっぱり、小さいサイズなら今の僕でも魔法が発動できるぜ。


 忘れるとこだったけど最後は翻訳魔法だ。だけど相手がいないとダメだし、ホコリに翻訳って意味わからないし無理そうだよね。いや、ホコリがしゃべらなくても魔法は発動するかもしれない。意味がなくてもやってみよう。翻訳魔法発動!


 無理でした。まぁ、無理だよね。そうだよね。


 あっ! そういえばステータス変わったかな? 確認しよう。ステータス・オープン!


【名前】ロウ

【レベル】1

【ジョブ】未設定

【称号】未設定

【加護】なし

【スキル】魔力感知LV1、魔力操作LV1

【魔法】異空庫ストレージLV1、情報閲覧LV1


 おぉ! 増えてるよ。しっかり二つ増えてるよ。その場のノリでホコリ収納とかやってたけど、正式名称は異空庫ストレージなんだ。結構、自由みたいだね魔法って。もう一つは鑑定じゃなくて情報閲覧だ。もしかしたら鑑定はスキルにあるかもね。値段とか偽物とか見分ける感じのやつ。


 あれ? 魔法覚えてるのまずくない? ジョブ設定よりまずくない?

 スキルはいいよね。魔力感知は赤ちゃんでもありえそう。感覚鋭い赤ちゃんがいても不思議じゃない。魔力操作は魔力感知できた赤ちゃんが、遊び感覚でやってたりとかあるかもしれない。苦しい言い訳かな?


 魔法は完全にアウトだよね。空間を想像できる赤ちゃんってなんだよって話だし。 


 もうごまかせないし、あきらめてジョブも設定しちゃおう。


【ジョブ】未設定

 [設定可能ジョブ]

  見習い魔法使いLV1、空間術師LV1、情報術師LV1


 増えてるよ。どうしよう? もう我慢しなくていいよね。ここは一番カッコイイと思う空間術師だ!


【ジョブ】空間術師LV1


 よし! テンション上がってきた! 魔法使いじゃん。最高じゃん。まだ赤ちゃんサイズの魔法だけど、本物の魔法使いだ。


 これからは魔法を使って、魔力枯渇させて、寝て魔力回復いや深呼吸で魔力回復だ。これの繰り返しで魔力トレーニングだ。


 あれ? 前世の記憶で魔力が枯渇すると、命の危険があるタイプの話を読んだことあるんだけど、この世界ってどっちだろう?



 魔力トレーニングで最強ルートは無理なの?

 教えて神様。

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