第13話
ーんっ…。
少年ー
…あれっ…いつの間にか寝ちゃったんだ…。
ぼんやりとした意識がゆっくりと覚醒していく。
…誰かの声がしたような…
おぼろ気な意識の中で聞こえた声…気のせいかもしれない…。
孝直はゆっくりと上体を起こす。
本!?
手にしていた本がないことに気づき、孝直は慌てて、辺りを見回す。
ふと、椅子に目をやると本が置かれていた。
ホッと、孝直は安心する。
良かった…。
この教会の2階で貸してもらった本で、なくしたとなれば、弁償しなければならないと思ったからだ。
正直、本を買う余裕がないのは分かっていた。家族7人がその日、食べていくのがやっとの暮らし…余計な心配と負担をかけたくなかった。
念のため、汚れていないか、破れていないか…と、パラパラと
すると…ひらりっと1枚の紙が床へと落ちた。
…しおり…?
孝直はすぐさま拾い上げ、表裏を確認する。
水色の長方形の紙の表に薄紫色で中心が黄色の小さな花が1輪押し花にされて、張りつけられていた。
上の右側の角には小さな穴が開けられ花と同じ色の薄紫色のリボンが結びつけられていた。
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