2ページ目 遭遇
離れていた彼女は振り返り笑顔で駆け寄ってきた。
「間島君に半田君だ!」
「桜宮さん家ってここの近くなんだっけ。」
2人の声はスーパー中に聞こえる大きさ、周りの人の視線が何故か俺に刺さる。
なんで皆俺を見るんだ、俺に静かにしろって声掛けしろって言うのか?出来ないから俺は放置しているわけなのだ。
だから俺のことをそんなに見るな。
俺は知らない振りをして2人から離れた。
夕飯の食材と明日の分の食材をカートに入れレジに行くと2人の声が近くから聞こえる。
「あれからもう10分以上経つのにまだ話してんのか...」
レジの会計を済ませ外に出ると2人が話していた。
話し終えるまで待つか...
近くのベンチに座り待つことにした。
2人を待って1時間、話し終える様子はない。
流石にもう家に帰りたい、2人は盛り上がっているので秋夜にLINEを送り、先に家に帰った。
夕飯を作っていると秋夜からLINEが送られてきた。
【今から桜宮さんと帰る。】
別に返信するほど大切なようじゃないし、既読無視でいいか。
2人分の夕飯を作り爺ちゃんに夕飯を運び、テレビをつけようとリモコンを手に取ると外から話し声が聞こえた。
まさか、あいつ桜宮と帰るって、ここに帰るってこと...
いやいや、あのバカでも誰かを家に呼ぶときはLINEをす...してたわ。
俺は急いでリビングを整理し、無駄なものを空き部屋に押し込んだ。
片付け終わると秋夜が戻ってきた。
「ただいま〜」
笑顔の秋夜、その後ろに桜宮。
「お邪魔します。」
俺はため息をつき彼女にお茶を出す。
彼女は家の中をキョロキョロ見ている。
「別に変なものは置いてないぞ。」
「何かあるかもしれないじゃん。」
秋夜は手洗いを終えお菓子を食べながら桜宮の隣の椅子に座る。
「葵は電子派だと思うよ、買ってる所見たこと無いし。」
電子派?なんの話?
それを聞いた桜宮はソファーの下を覗く。
「何、電子派だと!男子に家には必ず1冊はあると言われる伝説のあれが無いのか!」
桜宮はリビング全体を歩き、何かを探している。
なんでこの2人は話が通じるのだろうか。
バカ同士は話が通じる...とかではないだろう。
「さっきから、なんの話ししてんの?」
俺が2人に聞くと顔を合わせた2人は俺の方に向く。
「「エロ本」」
「あるわけねぇだろぶっ飛ばすぞ。」
桜宮が帰り、秋夜と夕飯を食べることにした。
「まだ怒ってるんですか。」
「全然、怒ってなんかないぞ。」
俺は笑顔で秋夜の炒飯にタバスコをかける。
「ほら、美味しくなる調味料だ、遺さず食え。」
秋夜が何か言おうとしたが俺が笑顔で見つめると黙った。
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