第14話 はじめてのクエスト 中
ごたごたと色々あったが目的であったパーティ結成、クエストの受注、装備の新調、と達成。
いよいよ今日の本番。ゴブリン狩りである。
1週間ぶりの戦闘だ。(さっきしたような気もするが)
先ほどは怒りが勝っていたため喜びを味わう事ができなかったのだ。
対人もいいが対モンスターも捨て難い。雑魚とはいえ心が踊ってしまう。れつごーれつごー!
「トーマ。楽しみなのは分かるけどハルのビルド、考えなきゃでしょ。」
ハイになっていたらめっ、されてしまった。自分より身長の低いウカにされるととても恥ずかしい。
「そ、それもそうだな。ついつい…」
「うきうきしてる先輩もかわいいですけど放置しないでくださいよー?」
と、ジト目のハル。かわいいはやめてください…
「よし、じゃあ少し長くなるけど説明するぞ。」
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れでぃーすえんぜんとるめん!
こんにちは!いつもあなたのおそばに!いー君です!
普段彼ら彼女らを観測している皆様に、トーマ君の代わりにAVOのビルドについてご説明しちゃいます!
…話し方が違う?そんな細かいこと気にしないでくださいよ〜 話の腰を折らないでくださいね?
気を取り直してビルドについてです!
この世界では【武器種】×【ステータス】×【プレイスタイル】で無限にビルドが変化します!
ステータスはご定番!
STR VIT DEX INT MND AGI、と6種のプレイヤー自身で振れる【固定ステータス】と、
プレイヤーの行動次第で変動するLUC、【変動ステータス】が存在します!
片手剣ひとつとってもステータスの振り方次第で純正剣士から魔法剣士まで、火力ぶっぱの剣士から瞬足の剣士まで!
自分の好きなプレイスタイルを確立することが可能なのです!
そしてビルドに合わせたスキルが十人十色に成長していくのです!
同じ魔法でも【範囲:小 火力:大】と【範囲:大 火力:小】のように違いが生まれるということです!これはステータスのINT値を参照しているだけでなくプレイスタイルにも依存します!
結論! 好きなように生きろ! ってお話です♪
以上!いつもあなたのおそばに!いー君でした!
今後もトーマ君御一行の冒険を要てっくです!
ではでは〜!
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「…って感じかな。」
「なるほどー? だいぶ奥深そうですね?」
「そうだな、プレイヤーの数だけ振り方があると言ってもいいかもしれない。スキルひとつをとっても個人差があるくらいだからね。」
「じゃあ私は光魔法を中心に取得してみようかな、?」
「ん。光は回復もできて優秀。ハルふぁいおっ。」
「うん!ふぁいおっ!」
どうやらハルは光魔法をメインに習得することに決めたようだ。まだまだビルドの道のりは長く、寄り道も回り道もひとつの楽しみだろうから色々考えてみてほしいな。
というかふぁいおにハマったんだろうか。可愛いもんなふぁいお。俺も使おうかな、…痛いだけか。
自問自答もそこそこに、今度こそするべきことを終えたと気を取り直し、森へと向うのであった。
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森へと続く門を守る門番にクエスト受注の証明をして街の外へ。ゴブさんのいる森は街からそう遠くない距離であり、歩いて数分。森の入り口に到着した。
周りを見ると同じような理由から森へと進んで行くプレイヤーが複数組いた。緊張感のあるプレイヤーのみのパーティはいなそうに見えることから、やはり現時点でクエストまで漕ぎ着けられるパーティは経験者が混じっているのだろう。
「よっし。ここから先がクエストの対象だ。ハル、グロテスク表記の設定は大丈夫か?」
「はい! さっき教えてもらった時に設定したおきましたっ。」
「ウカには聞いてくれないの、?」
「お前は
和気藹々と緊張することなく森へと進んでいく。ハルも少しは緊張しているようだが、体が硬くなってしまうほどではなさそうでひとまず安心だ。
「前衛は俺が務めるから、ハルは後ろから一回戦闘を見学してみようか。余裕があったら魔法も打ってみよう。」
「了解ですっ」
「ウカはいつも通り頼む。」
「ん。任せて。」
元気に敬礼をするハル。短刀をくるくると器用に回すウカ。最初の
「む。2時の方向。」
耳をぴくぴくと何かに反応するウカ。
流石は獣人族という所だろうか、斥候寄りのビルドも相まって遭遇戦は今後も心配なさそうだ。
「背後から奇襲してもいいがそれじゃあハルの練習にならないからな、接敵するぞ!」
「グギャギャ!」
しっかり音を立てて接近したためか流石のゴブリンもこちらに気付き臨戦体制に入る。ウカだけは斥候なのでいざという時のサポートのためもあり、少し離れたため敵対されているのは俺とハルの2人だけだ。
さて。2〜3年ぶりかのゴブリン先生である。初心者〜中級者向きのステージでしか会えないから久々の再会になる。
濃い燻んだ緑色にぼつぼつとした荒れた肌。高めな鼻と歯並びの悪い口元、手に持つのは無骨なこんぼう、とイメージしうる中でほとんどの人が思いつくであろう
ハルの方へヘイトが向かないよう、直線で結べるような位置で間に立つ。
知能もさして良くないゴブリンはヘイトを1番近いこちらに向けたようだ。まず先制と言わんばかりに手に持ったこんぼうで殴りかかってくる。
早くはないため余裕で躱せる、が練習のためだ。あまり褒められた行為ではないが刀身にダメージが入らないよう注意しながら刀を持ってしてこんぼうをいなす。
「ハル! ゴブリンとは戦えそうか?」
「見た感じ大丈夫だと思います! 打ってみていいですかっ?」
「よし、少し距離を取るからそのタイミングで頼む!」
再度攻撃を試みるゴブリンのこんぼうを今回は紙一重に躱し、足にカウンターを仕掛け距離を取る。
致命的ダメージではないものの足を欠損したゴブリンはすぐに追ってこず、引きずりながら接近しようとしていた。
「ハル!」
「ルミナスシュート!」
掛け声をかけるや否や、用意していたハルの魔法が炸裂する。
魔法を対象に当てるのにも技術が必要だったが流石アシストシステムというべきか、しっかりとゴブリンに向かって一直線に飛んでいった。
「グギャアアアアアア…」
刀によるダメージもあって決定打となったのだろう、断末魔と共に灰となって消えていくゴブリン。ハルには光となって消えいくように見えているだろう。グロテスク表記設定様々である。
「へぇ〜、灰になって消えちゃうんですね…」
「グロテスクオフにしてないのか!?」
「え、だめでしたか?」
…思った以上に強かなハルなのであった。
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ゴブリンのいた所に落ちている【ゴブリンの牙】を拾いインベントリへと収納する。剥ぎ取り等のシステムは無いため素材はドロップする仕様だ、楽で助かる。
「ん。ハル悪くない。ナイス魔法。」
「ありがとー! ウカも索敵ありがとね!」
「むふ。任せるといい。ぶい。」
ハルも萎縮していないようだし楽しそうだ。
「この調子でクエスト達成まで頑張ろうか。」
「索敵してある、あっち。」
と、次々見つかる単独ゴブリンをハル主体で撃破。残るは5体討伐であった。
「残るは集団戦だな、初めての対多数だしゆっくり進めよう。」
と言ってハルに集団戦における注意すべき点を伝えた。
「ふんふん… つまり連携をさせなきゃいいってことですね?」
「まとめるとそうなるな。今回は俺がタンク…敵のヘイトを集めるから、ハルは落ち着いてウカと一緒に各個撃破して行って欲しいんだ。」
「そこで他のゴブリンからヘイトを取りすぎないこと、と… うーん難しそうです。」
「やったら慣れる。やるだけやってみよ? 」
こうして
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