第12話
そしてあの後……。
「一千万なんてはした金で、先祖代々の大事な店を手放せる訳ないでしょーがッ! あんたたちバカなのッ?!」
「ハハッ、はした金ねぇ。じゃぁ、今すぐキッチリ返してもらおうかぁ!? えー、おじょーちゃんよう。できもしねーで偉そうなこといってんじゃねーよッ!」
「はぁッ!? さっき自分が言ったことも忘れたの? バッカじゃないの。十五日までにって言ったじゃない。今すぐになんて無理に決まってんでしょッ!」
「へぇ、なら十五日までに返してくれるんだな? まぁ、無理だろうけど」
「そんなのやってみなきゃ分かんないでしょーがッ!」
「ハハハッ、おもしれー。じゃぁ、やってもらおーじゃねーかぁ。その代わり、デキなかった時は、あんたにはオレの知り合いの店で働いてもらうからな?」
「いいわ、望むところよ。やってやろーじゃないッ!」
「おーいいねぇ。まぁ、頑張って。んじゃっ」
いくら兄が友人の連帯保証人になってたからって、一千万で、大通りに面した場所にある、料亭『橘』、江戸時代から先祖代々引き継がれてきた老舗の、あの店を差し押さえるなんて、どんだけ足元見たら気が済むのよ?
あまりにも理不尽な要求に、カチンときてしまった私は、なんとも趣味の悪いシャツを着たチンピラ風情の細身の男と。
上記のやり取りを繰り広げ、売り言葉に買い言葉で、あのような啖呵を切ってしまったのである。
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