1. 謎の小劇団 ③
木の陰で二人の様子を震えながら見ている。
いけ、勇気を出せ! 助けるんだ! 心の中で葛藤していたまさにその時。公園の中の状況が一変した。
「おいおい、いじめは今どき流行らないぜ? なあ、みこと?」
「ええ、本当よね。あんた、とっとと返してあげなさいよ」
お、おっと? あの謎の男女は誰なんだ? 体格は見るからに僕と同じ小学生みたいだけど、見た目が少し変わっている。二人共茶髪で、髪が長い。あのギャルカップルみたいな人たち、ウチの学校にはいないはずだけど……。
「はぁ? お前ら誰だ? 関係ないだろ」
「その子が困ってるだろ。返してやれよ」
「おい、邪魔するならお前らもただじゃ済まないぞ」
「やってみろよ? 俺の仲間がすぐにここに来て、逆に返り討ちになるけどな」
隣の派手な女の子も、うんうんと頷いている。どうしてあんなに落ち着いていられるのか。ゾッとする気持ちと、この後の展開を見ていたい気持ちに揺れている。
僕はじーっと見つめながら、息を潜めていた。
本当に喧嘩になっちゃったら、どうすればいいんだろう……。
「お前、いい度胸してるな。わかった、ランドセルは返すよ」
ポイッと投げたランドセルが、須藤君の両手に渡る。須藤君は慌てながらも、何とか落とさずにキャッチした。
「お前ら、次会った時は覚えとけよ? じゃあな」
髪を掻きながら、野田君は公園を出て行った。あの二人組が、野田君を退治したということだ。何故かわからないけど、僕の腰も抜けそうになる。
「あ、あの、ありがとうございます!」
須藤君は二人に礼を言うと、顔を真っ赤にさせながら学校の方まで走っていった。きっとあの二人組のことを、須藤君も怖いと思ったのだろう。
公園には、あの二人組だけ。一体あの人たちは、何者なのか……。
「ハイ、カット! みこと、良い演技だったぞ」
「ソウヤこそ、迫力出てたわよ!」
……え? どういうことだ? 何が起きたというのか。
目を擦りながら、何が起きたのか必死に理解しようとしてみる。
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