第31話

ララの鼻先辺りに、私の右手の甲を近づける。




構ってはいけないと、頭では分かっているが





名前を呼びたくなる。




触りたくなる。





付き合いたての彼氏に対して、向ける感情に似ている。





そして、ララは手の甲に鼻を近づけてくる。






クンクン、匂いを嗅ぐ。





『ララ。さっきは偉かったね。』





話しかければ、こちらを向く。





そして、また手の甲の匂いを嗅ぐ。




そして、私は





『ララ』






名前を呼びながら、ララの頭に初めて触れた。





ペットショップでも抱っこはしなかった。





頭を撫でれば、嫌がる事もない。





『おいで』





あぐら座りをして、太ももを叩いて呼べば





テコテコ歩いて寄ってくる。





そして、私の所で座ってくれた。




なんだか座り心地は悪そうだったが、頭からおしりの方に向かって撫でる。

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