ハイファンタジーにおける魔法
今回はハイファンタジーの華である、魔法について語ってみます。
必ずしも魔法的なものを描写するとは限りませんが、もし取り入れる場合は、本稿が参考になればと思います。
▼人間にとっての魔法とは
古来より人間は、厳しい自然や社会の中で、見えない奇跡や恵みを信じて、現実に立ち向かってきました。
魔法とは人生における希望だと思います。
また、ハイファンタジーにおける魔法は、人間のあくなき神秘への挑戦と渇望を、象徴化させたものだといえます。
人間って常に、心のどこかで神秘と魔法を求めているのでは、ってことです。だからこそ多くのファンタジーでは、その表出として魅力的な魔法が描かれるのです。
▼神秘主義と魔法
現実の人間たちは魔法というものを様々な文脈で探求してきました。
古代の祈祷や占い。シャーマニズムや霊界探訪。密教や魔術や陰陽道。あるいは夢想の中で、人間たちは神秘に近づこうと挑んできました。
それらを現代の尺度で捉えると、多くの人からは、理解しがたく見えるかもしれません。
オカルトを容易には信じてはならない、と考える人が多いと思いますが、しかし心のどこかで、人間は常に新たな力や神秘を渇望しているのではないでしょうか。
その探究心が、人類を生きながらえさせてきました。実際はそれらの探究心は科学などで成果を生んできました。
人間にとっての魔法とは、目に見えない神秘でありつつ、人生を変える力の探求の道なのです。
『現実に魔法や魔術が存在するか』を論じるエッセイではありませんので、それに言及はしません。
ただ、人間とは神秘や新たな力を求めるものであり、それが人類史や科学、あるいは魔法の歴史であると思います。
▼ファンタジーの中の魔法
自作の中で魔法や神秘を描く際、細かな原理や力学を必ずしも定義しなくてもよいと思います。
(現代化学や物理学がこの世にない時代から、人は火を活用してきましたし、そういった意味で、魔法の原理をすべて理解しなくても、キャラクターは魔法を使うかもしれないのです)
とはいえ、ふつうは魔法というものが出る以上、中心的なテーマに近接するものになります。
キャラクターたちは魔法ないし未知の力を渇望し、世界の法則に挑み、人生を変えようとするのです。
魔法の描き方は作品テイストによってさまざまだと思いますが、あなたの世界観の中で、敬意と畏怖と確信を持って描けば、ハイファンタジー世界を支える強力なリアリティになると思います。
▼魔法の力のバランス
魔法の力が強大すぎると、ストーリーや、あるいは作品世界の秩序が崩壊してくるし、リアリティが損なわれていきます。
どのような力を与えて、どのような代償を支払うか。そのバランスが大事です。
僕の作品では、、
『滅びの国の魔女紀行』
サバイバルファンタジーとして、魔法使いひとりにつきひとつだけ、渇望に応じた魔法を発現させました。
二人の主人公のうち、ひとりはサバイバルで便利な、リスクの少ない灯りの魔法。これは、暗闇と心をいつも照らす灯りとしました。
もうひとりは強力だが制御しづらい灰の魔法でした。力の所有者は『破壊的な魔法を持ちながら、内向的で自己攻撃的な魔法使い』というコンフリクトを抱えたキャラ造形としました。
この二人が、孤独な旅の中で自己受容へと歩んでいくのです。
このように、魔法の力をストーリーの意図と合わせて、秩序に基いて与えることで、それ自体がドラマとなると思います。
こんな感じで今回は、ハイファンタジーにおける魔法について語ってみました。
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